新潮文庫<br> この世をば〈下〉

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新潮文庫
この世をば〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 473p
  • 商品コード 9784101292076
  • NDC分類 913.6

内容説明

30歳で一躍トップの座に踊り出た道長は、兄道隆の子伊周の排撃にも成功した。そして娘の彰子を一条帝に入内させ、やがて待望の男子が生まれる。かくて一手に権力を握った道長は、抜群の平衡感覚で時代を乗り切り、“望月の世”を謳歌する―。“権力の権化”という従来のイメージではない、人間味溢れる平凡な男としての藤原道長を描き出し、平安貴族社会を見事に活写する歴史長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねむねむあくび♪

60
図書館の本。この本を読むまでの藤原道長のイメージは、豪腕腹黒な政治家だったが、永井さんの道長は、幸運な平凡児が、成長と共に、巧みなバランス感覚で帝を支え政治をまとめ栄華を極めていくものだった。感想を書きながら、いつの間にか、藤原道長のイメージが徳川家康と重なるようになった私です。面白かった!!2015/09/13

けやき

51
幸運なる平凡児・道長の後半生。「この世をば…」の歌を歌った時の状況もよく分かった。道長が死ぬ頃には平安の世も大きく動こうとしていたのもよく分かった。2024/01/17

ちゃいろ子

50
とても面白く且つ恐ろしい話だった。 貴族たちの駆け引き。いかに美しい娘たちを上手く使うか。 武士たちのように大っぴらに殺し合いはしなくても影で繰り広げられる足の引っ張り合いは恐ろしい。そして駆け引きに勝利し栄光を手に入れても、今度は 呪詛により病にかかる。 実は呪詛が原因などではなくても心の奥に負い目があるから。 この時代の人を笑うことはできないのではないか。人の身体と心は切り離せない。 心のもちよう気の迷い。 これは時代の頂点に立った男にとっても打破できない人という生き物の性のようですね。2022/06/21

ちゃいろ子

45
再読 藤原道長と言えば、この世の春を謳歌した傲慢な男という描かれ方も多く見かけるが、永井路子さんの描く道長は 兄2人の死により転がり込んできた幸運を喜びつつも持て余し、強気と弱気、相反するようでいて良くある二面性を持つ末っ子で。 末っ子ならではの他者への気遣いを持ちつつ、豪胆な部分もあり。 私の中の道長像は永井節で刷り込まれているので今期大河ドラマで描かれている道長がとってもしっくりくるのです^^ 続編も読み直しまーす 2024/03/03

エドワード

44
さて下巻。都を襲う疫病。道隆、道兼を始め政界の要人が悉く冥界へ去り、道長に文書内覧の命が下る。強敵伊周も弟隆家の勇み足で自滅、道長は自ら動くことなく運が開けていく。そこには皇太后である姉詮子の助力があった。道長は娘の彰子を一条天皇の妃に送り込むことにも成功する。道長は幸運に恵まれれば欣喜し、失敗すればがっくり肩を落とし、天下人となっても凡人故の平衡感覚を持ち続けた。物語の終幕に有名な「この世をば」の歌が出てくる。これは藤原実資の「小右記」にのみ残るらしい。道長の治世の三十年後、日本は末法の世に入る。2013/08/16

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