新潮文庫<br> 続 悪霊列伝

新潮文庫
続 悪霊列伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 223p
  • 商品コード 9784101292045
  • NDC分類 913.6

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちゃいろ子

42
前作より馴染みのある悪霊さんたちが描かれていて更に面白かった。 崇徳上皇はいわずもがなだが、頼朝や徳川家斉の話も興味深く読めた。 平将門も首塚など今でも祟りがありそうで怖いイメージだったが、、、。 楠木正成も面白かった。俄然太平記が読みたくなった。 悪霊を、自分たちの利益のために作り出す人間もいれば、楠木正成の例のように 忠義者とされたり、大悪党とされたり、為政者側の都合でコロコロ評価を変えられたり。 引き続き永井路子さんの作品読んでいきたい! 2022/06/09

大阪魂

37
悪霊列伝の続編!前作に比べてインパクト薄なったけど引き続き面白かった!この前は道長まで、この本は東京最大?の怨霊・平将門、史上最大の大悪霊?崇徳上皇。そして悪霊イメージ全然なかった源頼朝、楠木正成、ぼろ鳶の敵・一橋公の子ども11代将軍・家斉。奈良平安に比べて鎌倉以降、悪霊のインパクトが弱くなってしもたんは、武士が主役になって合理主義がメインになったから。でも江戸末期・家斉での悪霊復活は世の中平和で退廃進んだから、って永井さん。悪霊はそれを信じる者の中にだけ住む!今はどうなんやろ?永井さんの他の歴史本もよも2020/09/05

kk

18
『悪霊列伝』の続編。平将門、源頼朝、楠木正成などを取り巻く悪霊伝説を取り上げる。基本的な視点は、「悪霊の歴史はまさに政治史であり、人間の心の裏面史」であるとの認識。人の心の機微に通じた永井路子先生ならではの切り口かと。エピソード面で特に興味を惹かれたのは楠木正成に関するもの。『太平記』における「七生報国」の本来的な意味に仰天させられました。2024/03/23

世話役

15
Kindleにて。本巻は平安後期と中世(鎌倉〜江戸)の悪霊譚。鎌倉以降の悪霊(怨霊)というのはぴんとこないが、実は存在する。また、中世になると怨霊よりもその影に怯えた人物が中心となる。これはとりもなおさず著者が「悪霊はそれを怖れている人の心の中に住む」という姿勢を貫いているためだ。では、その心理状態を読み取る著者も信じているといえるのではないか?そのような疑問を持ったところ、後書きで「イエスともノーとも」いえると述べていて少し腑に落ちた。しかし、こうした恐怖の心理をえぐり出す辺り、やっぱり永井路子は怖い。2015/01/24

高橋 橘苑

13
歴史作家として文献だけでなく、学術論文まで目を通していた永井さんだけあってその視点は鋭い。特に、「楠木正成」の章は、ああそうかと思わず唸ってしまう考察である。正成は金剛寺に深い関わりのある土地に密着した武士であり、運送業者ではないと指摘する。寺社勢力側の、つまり幕府に強い反感を持つ天皇や公家と同じ、古代以来の荘園を多く抱え込む、当時のウラトラ保守側の戦力だったと説く。本質的に時代に逆行した者の宿命と、その敗者として「太平記」に書かれる正成の怨霊。「悪霊の歴史は正に政治史であり、人間の心の裏面史なのす」2015/02/03

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