内容説明
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
著者等紹介
平野啓一郎[ヒラノケイイチロウ]
1975(昭和50)年、愛知県生れ。京都大学法学部卒。’99(平成11)年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により芥川賞を受賞
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
320
物語はタイトルに謳われているごとく、ショパンの葬礼に幕を開ける。何故にここから始まるのかは、追々明らかになるものと思われる。まだ全体の1/4が終わったばかりだが、物語世界にはロマン主義の息吹が横溢する。もっとも、作中のドラクロワは自らがロマン主義者として位置付けられることを嫌うのだが。現在のところでは、動のドラクロワと静のショパンといった趣きだ。ただ、この時点でサンドとの蜜月はもはや終わりを告げそうである。物語のうねりの行方は不明であり、どこに向かうのかは分からないが、長編の風格を持って下巻へ。2016/07/16
のぶ
58
タイトルからショパンの伝記的な話かという先入観から入ったら外れた。全4冊の1冊目を読む限りだが、冒頭ですでにショパンとサンドの関係が出来上がっていて、病気が進行していた。ショパンの音楽に対しての記載はあまりなく、周辺の作曲家のエピソードの方が面白い。もう一人の主人公が画家ドラクロワ。この本ではこちらの話の方がむしろ多い気がした。前から気になっていた作品だが、平野啓一郎という事でちょっと難しい気がして敬遠していたが、とても読みやすく物語に引き込まれたところで、第一部の下巻へ入ります。2016/06/13
優希
51
ショパンの半生の物語が紡がれます。流麗なピアノの音が背景に流れているようでした。孤高で繊細な精神がそのような調べをこれからどう流していくか気になります。2022/12/14
崩紫サロメ
29
再読。ショパンの晩年を扱った小説。ドラクロワ目線の語りが多いんだけど、この巻でドラクロワとショパンがオペラ歌手について論じてる場面の後で、ドラクロワが作家や画家は後世になって再評価されることがあり得るが、舞台役者はそういうことがあり得ない、と思っているところ、考えさせられた。今なら映像などで記録され、評価されることもあり得るけれど、それでどのくらいのことが再現できるのだろう。作曲家への評価はそれを演奏する人なしではあり得ないけど、誰の解釈も演奏も交えることのない「音楽」はどこにあるのだろう、などなど。2020/10/13
miho
23
【2021-151】【図】平野氏の批評やエッセイを読んで、もっとこの方の小説を読みたい!(「マチネの終わりに」のみ読了)と思い、まずは手に取った本書。ショパンとドラクロワの交流を軸に当時の芸術を知れるなんて〜とワクワク読み始めましたが、読みづらい…面白くないわけではないんです。ただ文体が読みづらい。。1冊読むのにこんなに時間がかかったのは久しぶりです。登場人物がどんな人なのかわからないと都度ググったりしていたから余計に。これでまだ1/4かぁ、とも思いますが、続きが気になるので早速(下)に取り掛かります!2021/11/21