内容説明
上高地への道路に代えて鉄道を敷いてみたら。渋滞、事故、駐車場確保から解放されて、澄んだ空気に穂高岳もぐっと鮮やか…。でもこれはまだ夢の話。鉄道旅行の達人が夢を託して架空の鉄道計画を大胆に提案。「富士山鉄道・五合目線」「屋久島自然林保存鉄道」「蔵王鉄道」等々。実現が可能な路線を含め、壮大さと優しさを兼ね備えた夢列車が出発のベルを待つ、未来形の鉄道エッセイ。
目次
上高地鉄道
富士山鉄道・五合目線
伊勢志摩スカイ鉄道
屋久島自然林保存鉄道
比叡山鉄道
奥日光鉄道
志賀高原鉄道・草津白根線／奥志賀線
蔵王鉄道
菅平鉄道・根子岳ラック線
奥多摩湖観光鉄道〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
359
タイトルに「夢の」とあるのは、例えば巻頭の「上高地鉄道」のように、実在はしないが、あればいいのにと著者の宮脇氏が夢想した鉄道の故である。海外篇の3つを除いてはすべてこの類い。著者の鉄道贔屓もあるが、宮脇氏の基本的なコンセプトは、鉄道の方が道路よりもよりも景観を守れるということにある。ここで模範となっているのは主にスイスの鉄道である。上高地鉄道や「富士山鉄道」はわからなくはないが、中にはこんなものはいらないのではないかと思われるものもないではない。これもひとえに雑誌「旅」に連載されたことによるのだが。2021/09/09
いっしー
18
蔵王山を横断する鉄道という私的な構想が、何とも本気っぽくて良い。標高約1600mを通るという寒冷地の山岳鉄道は、土地の性格上寧ろ冬期間こそ活性化して欲しいが、現在のスキー人口の減少から考えると、仮に敷設されたとしても経営維持が大変厳しかっただろう。他にも富士山や上高地など日本の主要な山岳にも構想が及ぶが、道路との競合はさておき、鉄ちゃんには垂涎の夢のあるお話である…2016/08/08
山口透析鉄
10
これ、かなり前に買って読んでいます。詳細はヤマケイ文庫版に書いた通りで、読んだ時期は乗りテツで全線走破を目指していた頃だったはずなんで、日付は正確ではありませんね。2000/09/24
さっと
9
再読。最近公表された富士山五合目までの富士スバルラインを鉄道転換する「富士山登山鉄道」の既視感はこれのせいかwいまから30年前の『旅』に連載され、自然にあふれた景勝地を舞台に、鉄道＞クルマの信念のもと、輸送力の高さで渋滞を解消し、冬場も安心安全な運行を確保、道路ほどの幅が必要ないので植生に影響する工事は最小化し、排気ガスによる環境負荷低減に寄与する「夢の山岳鉄道」を構想したもの。各編テキストは20ページに満たないが、路線図はもとより、車両編成、駅用地、建設費と乗車料の胸算用まで周到な夢物語が紡がれる。2021/03/05
RYOyan
7
僕もスイスを旅した時、こんなところまで鉄道で行けるのか！と日本の鉄道とは次元の違う発展を肌で感じて驚きました。ツェルマットじゃないけど、パークアンドライド的に自家用車と公共交通機関の棲み分けが、この先の環境保護への取り組みで求められるのは必須。宮脇さんに遅れること20年、ようやく現実問題として取り上げられるようになってきた。2020/11/30
