新潮文庫<br> 終着駅へ行ってきます

新潮文庫
終着駅へ行ってきます

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  • サイズ 文庫判/ページ数 253p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101268040
  • NDC分類 686.21

内容説明

北は根室本線の根室から、南は指宿枕崎線の枕崎まで、25の終着駅を訪れる。長いレールが突然途切れ、そこに、もうこれ以上先には進めませんといったふうにディーゼルカーがぽつんと止まっていたりするのは、まさに終着駅ならではの風情。山ふところにいだかれた小さな停車場、草の陰に横たわる錆びたレール、煤けた古い跨線橋―ローカル線の旅情を満喫させる“行き止まり”紀行。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

97
枕崎のような日本中の終着駅への旅行記。地味な内容だが、非常に楽しく読めた。列車の窓から見える日本各地の風景の描写が美しい。それを読むだけで旅情に浸れる。胸が締め付けられるような郷愁も感じた。ここに描かれていることは国鉄の列車が走っていた時代のことだ。今は過ぎ去って消えてしまった人や物、風景が宮脇氏の筆によって鮮やかに甦る。「片町」に出てくる電車の中でアンコロ餅を食べるおばあさんは、もうこの世にはいないだろう。このようなことを考えると、この旅行記がこの上なく貴重なものに思えた。2017/05/28

molysk

40
現実の世界で遠出がままならないならば、空想の世界でいっそ時代も飛び越えて昭和の終着駅へ旅立とう。宮脇が厳選した行き止まり路線は旅情を誘うものばかり。根室や枕崎のように現存する駅も多いが、十勝三股や増毛のように役目を終えた駅もある。また、売り物を手に市場へと向かう行商の姿や、宅急便に急速に代替されつつあった鉄道での小荷物輸送など、往時の鉄道を取り巻く風景を思い描くもまた良し。旅愁を誘うのは、かつて繁栄した鉱業や林業といった産業を失って衰退した姿を見せる終着駅だ。中でも、戸数二戸を残すのみの十勝三股は別格。2021/03/28

さっと

8
再読。私が生まれる数年前が舞台で、いきどまりのローカル線は多くが廃線指定を受けて不況に喘いでいる。私のもっとも身近な廃線跡は士幌線(糠平湖の渇水期にのみ姿を現すタウシュベツ橋梁で有名)だが、「北海道河東郡上士幌町字三股。戸数二戸。国鉄士幌線終着駅。ただし列車の運行なし」で締められる本文は印象的で、前回読んだときからここだけは覚えていた。コロナ禍まえの最後の出張ついでに乗った武豊線(競馬ファンなのでずっと乗ってみたかった)は、本書では「名古屋直通化」が唯一の明るい計画となっているが無事果たされてますね。2021/05/21

Isotoma

2
この人の紀行文全てにいえることだが、最初に「鉄道好きの変人です」と自己紹介しておいて、奇人変人が特定の趣味の人向けの奇抜なことを書くのかと思いきや、実は、教養溢れる常識人が細部に拘った旅行をして、奇を衒う外連味・小細工とは正反対の実務的レポートのようでありながら何故か味わい深い文体をベースに、ペダンティックにならないように十二分に注意しているのにそれでもこぼれ出してしまう知識がちりばめられた紀行文になっている。この人のおかげで鉄道オタクは非常に印象がよくなった筈。

さっと

2
過疎化や基幹産業の変遷など時代の波にもまれたローカル線の最果て。終着駅はそれでも素敵です。2008/12/14

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