内容説明
「ねえ、私、生まれてから一度も“怖い”と思ったことがないの。あなたのお話で、私に“怖い”ってどんなものか教えて下さいな」―。ある作家は哀切と戦慄が交錯する一瞬を捉え、またある作家は「予感」でがんじがらめにする秘術を繰り出した。そしてまたある作家は、此岸と彼岸をたゆたうが如き朧な物語を紡ぎ出した…。当代きっての怪異譚の語り部が腕によりをかけて作り上げた恐怖七景。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
151
積読本の山から。暑気払いにちょうどいい。宮部みゆき氏の「布団部屋」はタイトルからしてじんわり怖い。乃南アサ氏の「夕がすみ」は子供の無邪気さが不気味だ。ところで、この一冊を引っ張り出す前日、何の脈絡もなく、フランク・シナトラとライザ・ミネリとサミー・デイビス・Jrの来日公演を録画したビデオテープのことを思い出した。あのテープどこにいったんだろう……。鈴木光司氏の「空に浮かぶ棺」を読んでびっくり。3氏の名前を記した、ビデオテープが絡んだ内容だった。何よりもゾワッとした次第。皆さんもこんな読書体験、ないですか?2018/07/25
mint☆
115
怖くて読みたくないー!という感じではなくジワッと怖い、そんな短編集でした。流石に有名作家さんばかりなのでどれも面白い。ただ中には後味の悪い話も。怖い話と言っても色んなバリエーションがあるんですね。2021/12/05
優希
100
7人の作家によるアンソロジー。「怖い扉」とありますが、そこまで怖くは感じませんでしたね。むしろ厭な世界に足を踏み入れたような感覚です。その世界は、足を踏み入れたら最後、読み終えるまで抜け出せない世界のようでした。一つ一つの物語が丁度良い長さで、最後にゾワッと鳥肌が立つ感じが何とも言えません。面白かったです。2016/11/19
あつひめ
96
ホラーは苦手なのだけど…ただ怖そうな話を並べているのではない印象を受けた。だから…ホラーの苦手な私もついつい引きずり込まれてしまった。映像化するよりも、女優の白石さんの語りで聞いたら、怖さも去ることながらその中に含まれる空気感をたっぷり味わえそうな気がした。辛さと同じで怖さもストレートじゃない方が旨味がある気がした。2013/10/25
mocha
95
豪華な執筆陣にひかれて。流石にどの作品もあっという間に世界に引き込み、ぐいぐいと読ませてくれる。好きなのは夢枕獏さん。7編の中では一番怖くなかったけど、この世界観と語り口がいい。平安朝のものは他の時代を舞台としたものより粘り気がないし、リアリティが希薄な分だけ読みやすい。反対に鈴木光司さんのは体が拒絶反応を起こす。2020/08/02