内容説明
わけもなく他人に怖れられる恐怖。自分が誰か、どこにいるのか急に分からなくなる恐怖、悪い予感が次々的中してしまう恐怖、夢に隠された潜在意識がしだいに形を取ってくる恐怖、古い書物の呟きが迫ってくる不可思議な恐怖―名手が繰り出す奇妙な色合いの恐怖11種は、あなたの心に複雑な波紋を残します。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
48
11の短篇が収められています。この本は阿刀田さんの仲でもかなり好きな部類に入ります。恐怖に関するものばかりで結構余韻をもたせる終わり方が多く読者に結末を任せている気がします。特に表題作は、誰かの(中島敦?)短篇に似ている気がしました。2015/04/12
S.Mori
16
阿刀田さんお得意のホラー色の強い11の短編が収録されています。「車輪の下」のように結末で背筋が寒くなるものが多いですが、ほとんどの作品がしみじみとした情感を感じるものが多くて読後感は悪くなかったです。一番好きな短編は「鉢伏山奇談」です。主人公が故郷の山の樹に抱く愛着に、日本の昔話を絡めて描いた作品。彼が一回だけで山で出会う美しい女性の描写が印象的でした。彼女の正体は?彼女はどこに行ってしまったのかといった疑問を持ちながら最後まで読むと、すとんと胸に落ちる結末が待っています。2020/03/30
芍薬
16
呼ばれていたり、向かって行ったり、知らせだったりするあやかしの声たち。「俺の力」がユーモアがありつつもちょっと怖くてお気に入り。2014/02/23
ジュリアンヌ
12
最後の最後のオチでゾッとする系のホラー。後味が悪い感じの気味の悪さです。あやかしの声、を読みたくて手に取りましたが、ほかの話もかなり楽しめました。あやかしの声を読んだあとに、学校図書館の書庫へ行くのは少し、怖かったです。2016/05/16
002
8
図書館の書庫、大学の時よく行ってたけど、確かに怖かった。あそこに一日中一人でいるっていうのは、いくら本好きでも、耐えられないなー!2014/10/27