内容説明
寺田麻美は美貌の女性だった。中座啓一郎はたまたま彼女を知り、婦人雑誌の記者だという麻美の魅力のとりこになってしまった。だが、独身の啓一郎には二人の恋人がいた。ひとりは千倉法子。彼女は画商を仕事とするキャリア・ウーマンで、啓一郎とは学生時代から関係が続いている。もうひとりは田川薫。スナック・バーのママだが、啓一郎は彼女の肉体に溺れていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
70
何てエロティックで官能的な世界なのでしょう。2人の恋人、偶然知り合った女性に魅了されること。肉体関係に溺れる相手がいつつも他の女性に惹かれていく世界はどこまでも濃密なものがありました。啓一郎を見ていて、この想いは恋ではなく、あくまで欲望なのだと思わずにはいられません。下巻も読みます。2018/04/18
KAZOO
47
阿刀田さんの長編ですが、当初はたぶん新聞小説連載でかなりエロティックで朝からこんなのをサラリーマンに読ませるのかという感じがしたのを覚えています。渡辺淳一さんも「失楽園」というのを連載されて話題になっていましたからあまり違和感がなかったのでしょう。今読み返してみてよくまあこんなすごい(ある意味では)小説だったのだなあと感じています。2015/06/03
KAZOO
11
阿刀田さんの長編ですが、当初はたぶん新聞小説連載でかなりエロティックで朝からこんなのをサラリーマンに読ませるのかという感じがしたのを覚えています。渡辺淳一さんも「失楽園」というのを連載されて話題になっていましたからあまり違和感がなかったのでしょう。今読み返してみてよくまあこんなすごい(ある意味では)小説だったのだなあと感じています。2012/06/01
MIKETOM
7
阿刀田のエッセイによると、男が女に惚れる要素として『気惚れ顔惚れ床惚れ』という格言があるらしい。つまり「知」「美」「性」。本書は、婚活中の男(35)がこの3タイプの女性と三股をかけながら交際し、それぞれの恋愛模様を綴った作品。まぁ、こういう設定上、この男の性的モラルがちょっと崩れてるのは仕方ないのかな。もう一つの特徴として、各章が花の名前になっている。もちろんその花がその章を象徴している。新聞連載でちょうど一年。四季折々の花がストーリーに文字通り花を添えている。「知」の女との能登の旅がよかった。下巻へ。 2019/10/20
takaC
3
1993年5月読了。1999/01/01