内容説明
ルネサンスの華開くフィレンツェの街は、メディチ家の支配下にあった。当主ロレンツォと弟ジュリアーノの関係は、渦巻く野心の間で引き裂かれつつあった。偶然ジュリアーノと出会った少女アンジェラは、その天使のように美しい姿に魅せられ、ぜひ絵にしたいと願う。その想いが密かな恋心に変った時、二人を襲う悲劇、そしてこれからダ・ヴィンチが描くという幻の小説の謎とは…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
レアル
101
読友さんからお勧め頂いた本。舞台は中世イタリアのフィレンツェ。レオナルド・ダ・ヴィンチの滞在16年を少女アンジェラとして書かれた小説。気のせいかもしれないが、登場人物の置き方が先に読んだ『ブルボンの封印』とよく似ている?またルネサンス最盛期を読みやすく書かれている。華やかで悲劇なお話。どこまでが本当の話なのか、今の自分には判断つかないけど、藤本氏の作品のおかげで少しずつではあるが、中世ヨーロッパの歴史が分かりかけている!かも。。こちらも恋多き、そして陰謀が絡み合い、とても面白い作品たった!2013/11/16
優希
56
レオナルド・ダ・ヴィンチを少女に置き換えるという着眼点が面白いと思いました。史実と恋愛を組み合わせた世界はファンタジーのように美しく、独特のユーモアを感じました。面白かったです。 2024/03/25
紅香@新刊購入まで積読消化あと4冊⭐︎
30
描くことは愛することと同等。レオナルド・ダ・ヴィンチが語る愛と動乱のフィレンツェでの16年間。。史実に恋愛と芸術を足すと今まで飲み込みにくかったものがすんなり消化できる。こういった物語は嬉しい。詳しい地名は知らなくても、細かいところが分からなくても、怒濤に揺れたメディチ家を身近に感じ、沢山流れた鮮血を哀しみとともに色濃く思い知ることができ、魅了された。これからは痛みと喜びをもって絵画を観ることができます。『絵かきは誰も自分を描くものだ。どんなモデルを選んでもそれを通して自分自身を描いてしまう。』2015/07/19
エドワード
23
ルネッサンスの花開くフィレンツェ。近郊のヴィンチ村から画家を目指し、ヴェロッキオの徒弟となる少女アンジェラ。先輩ボティチェリから、「風景を描くな。人物を描け」と諭される。今も昔も絵画は注文を受けて描くもの。芸術家と職人の狭間で悩む彼女。都随一の権門メディチ家。嫡男ロレンツォは叔父レオーネと当主の座を激しく争う。アンジェラは貴公子たちの野心と恋愛遊戯の渦に巻き込まれていく。28年前、この花の都を訪れた。往時の繁栄を伝えるドゥオーモ、赤い屋根瓦の美しい街。再訪したい街だ。アンジェラの正体は?それは秘密です。 2013/10/22
takaya
16
同性愛者だったレオナルド・ダ・ヴィンチを少女に置き換えて、その恋愛を史実と組み合わせた小説。フィクションとノンフィクションが半々のユニークな展開が面白かったです。イタリアのルネサンス時代に興味がある人には楽しめる本です。2021/08/26