内容説明
津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964(昭和39)年、宮城県生れ。早稲田大学卒。’92(平成4)年、日本ファンタジーノベルズ大賞の最終候補となった『六番目の小夜子』でデビュー。ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。著書に、『球形の季節』『三月は深き紅の淵を』『光の帝国 常野物語』『ライオンハート』などがある
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感想・レビュー
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ちょこまーぶる
574
恩田陸さんのデビュー作だとは思わず読み始めたが、何となく最期の終わり方が納得できない想いがある。でも、学校を題材にした小説ってどうしてこうも面白いんですかね。登場人物のキャラクターが作りやすいからでしょうかね?それから、火事の時に小夜子は本当に現れたのだろうか?そして、人を襲う犬と小夜子の関係は?と言うあたりをもう少し明らかにしてほしかったなあと言う想いもある。おそらく、日本中の学校には伝説が沢山あって、この物語と同じような伝説を持つ学校も存在しているのではないだろうかと思わせる一冊である。ちょっと怖い。2014/02/11
ehirano1
514
功利的に再読。・・・気持ち良く他人を反芻させてくれる人間・・・(p240~241)、これは人心掌握術の1つですね。時と場所を弁えないとえらいことになりそうですが・・・。2016/07/09
風眠
508
学校って生き物だなぁ・・・しみじみと再確認した作品だった。誰に強制されたわけでもないのに、小夜子伝説に関わるミッションをやり遂げようと、静かな強迫観念に呑み込まれていくさまは、「何事もない学校生活に見えて、実はいろいろ大変」な「学校」そのものを象徴しているように思える。講堂に全校生徒が集められ、暗闇の中ワンセンテンスずつ言葉を朗読していく場面は、なんてことない文章が恐怖に変わっていく集団心理がよく表れていて圧巻。ラストは全ての謎が明らかにされなかったが、それこそが作者の意図した悪意なのではないかと思う。2012/04/13
夢追人009
370
恩田陸さんの伝説のデビュー作で、ダークファンタジー青春小説の傑作ですね。前々から読みたいと思っていましたが何となく尻込みしてしまい今回漸く読みまして、とても面白くて大満足しましたよ。結論から言いますと読後感は恐怖の度合いは少なく後味もよくて高校3年生の春から冬へ卒業までを追う青春小説の味わいが濃厚で随所にくだけたユーモアもあり楽しめましたね。本書を読んで気付いたのは著者が理詰めでガッチリとストーリーを組み立てるタイプの方ではないという事実で、謎解きの面で細部に曖昧さが残りましたが、それでも大満足でしたね。2022/03/02
さてさて
363
舞台となる高校に伝わる奇妙な伝説。それは生きたものであり、誰かがその伝説を現在進行形で演じ続けているという事実が不気味さを深めていきます。主人公それぞれの性格がよく描き分けられ、卒業を前にした学園生活も垣間見える中に描かれるホラーな世界。上手く構成された物語ですが、唯一、沙世子が男子学生たちを河原に導いた部分だけは、どうしても納得感のある答えを見つけることができず、この点読後の今もモヤモヤ感が残っています。それにしても恩田さん、デビュー作から恩田さんは恩田さんなんだなぁと思いました。2020/11/20