感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めしいらず
56
京都の四季を描く画伯の連作。春。「花明り」。月明かりに浮かび上がる満開の桜の幽玄。夏。「青い峡」。夜の森。青い木々の間に見える山の闇の奥深き。秋。「照紅葉」。黄金に、朱に色めく枯葉の目に鮮やか。冬。「年暮る」。雪降る京の町並みの寒き夜。ほんのり漏れる灯の温かき。鐘の音が聞こえん。白眉は何と言っても春の「曙」。まさに清少納言の「枕草子」そのままだ。重なり合う山々。遠くから徐々に白みゆく山際。夜と朝のあわい。霞んで見える山の風情。平安の御代と現代とが、繋がった。2017/10/28
どぶねずみ
34
川端康成との交流は、互いを異世界の表現者として尊敬し合い、川端は文章で、東山は画で美しいものを表現した。旅人としての様々な巡り会いから、多くの作品を生み出した東山魁夷。季節ごとの山の風景画を多くの季節から、朝だったり夜だったり、色んな角度から描いた山はどれだけ似たような作品を観ても、何気ない風景にリズムを感じて飽きないものだ。画に生命が宿るのを感じ、心清らかになる。画で京都を楽しませてもらった。まだ東山魁夷小画集は続く。2022/03/19
ユーさん
15
美しい絵と美しい文章、これに尽きます。じっくりゆっくりと丁寧に観察して描かれているのが手に取るように分かりました。2016/11/15
双海(ふたみ)
14
川端康成の「都のすがた―とどめおかまし」が載っています。川端:「京都を描くのなら、いまのうちですよ」2014/04/30
どらがあんこ
11
『年暮る』や『雪降る町』が冬を描いた作品なのにどこかに温かさや懐かしさを感じるのは何故なのだろう。描かれていない人がそこにいると、暮らしていると捉えるからなのか。2018/10/24