新潮文庫
命―命四部作〈第1幕〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101229256
  • NDC分類 916
  • Cコード C0193

内容説明

家庭ある男性との恋愛によって身ごもった作家・柳美里。時を同じくして、かつての恋人・東由多加氏の癌発症が判明する…。忍び寄る死への覚悟、恋人の裏切り、一人で生きてゆくことへの迷い、やがて誕生する新しい生命への希求。そのすべてをありのままにさらけ出し、血を流しながら綴った大ベストセラー「命四部作」第一幕。

著者等紹介

柳美里[ユウミリ]
1968(昭和43)年、神奈川県生れ。高校中退後、「東京キッドブラザース」を経て、’88年、劇団「青春五月党」を結成。’93(平成5)年、『魚の祭』で岸田国士戯曲賞、’96年、『フルハウス』で野間文芸新人賞、泉鏡花文学賞受賞。翌年『家族シネマ』で芥川賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

306
『命』4部作の第1巻。私小説まがいのリアリズム小説に見えるが、柳美里自身はこれを「物語」と位置付けている。けだし、彼女にとっては、ぜひとも書かねばならなかった物語なのである。作品の構造は一見したところでは、単純明快―すなわち新たに生まれ、日々その生を育んでいくものと、一方では急速に衰微し、死にゆくものとが拮抗して描かれる。しかし、その生と死とがそれぞれ内包するものは、存外にも複雑である。ことに東の死は。そもそも、本書は彼の死を悼む晩歌として書かれているのであるから。そこにあるのは単純な哀しみでないことは⇒2023/05/19

メタボン

29
☆☆☆☆ 作家はここまで自分の人生をさらけ出せるものなのか。生まれ来る命と死にゆく命に、真っ向から対峙した本当に熱い小説だった。命の誕生の場面は柳美里にしか書けない、壮絶なリアリティ。この壮絶なリアリティを、しっかりと受け止める覚悟を持って、第二幕へ突入する。2020/03/02

秋 眉雄

12
「なにやってるの!耳にどこどこ水が入ってる!」柳美里はぶきっちょだ。生き方を含めて器用に立ち回ることが出来そうにない。でも、だからこそ書けるのだろう。不幸というのは状態で、幸福とは瞬間のなかに存在するってホントそうだよなあと思った。リリーフランキーの解説が秀逸。流石。2016/01/24

やまねっと

10
この本は小説なのか随筆なのかノンフィクションなのか上手く分類できることが出来なかったのだが、ふと私小説という言葉が浮かんだ時にふに落ちた。 消えゆく命と生まれてくる命が交差したところに混乱が生じていたが、東さんは幸せだったと思う。僕はそう思う。 ただ子供は不幸ではないと思う。愛情を持って育ててほしい。切に願う。 あと、解説のリリーフランキーの文章が今まで読んだリリーフランキーの文章の中で一番感動した。 このシリーズは四部作らしいので、全部読んでみたいと思いました。 この家族に幸あらんことを。2020/09/11

ゆみ

8
柳美里と言う女性はとても感情の起伏が激しい人なんだなと言う印象を感じた。不倫の果ての妊娠と言うことで尚更不安定な感じがしたのかもしれない。しかし、この不倫相手は本当にどうしようも無い男なのに、いつまでも拘ってる作者が理解できなかった。恋ってやはり当事者にしか分からない部分があるんだと思う。そしてもう一つの命、大切な人の死に向き合う目を背けないと言うのは、自分を一回り大きく成長させると私は思う。2017/02/10

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