新潮文庫
靖国

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101226316
  • NDC分類 175.1
  • Cコード C0195

内容説明

「軍国主義の象徴」か、あるいは「英霊の瞑る聖地」か。八月がくるたびに、閣僚の公式参拝の是非が論じられる靖国神社。しかし、そもそも靖国は、建立当初はどのような貌をした場所だったのか―イデオロギーにまみれ、リアルな場として語られることのなかった空間の意外な姿を膨大な史料を駆使して再現し、近代化を経て現在に引き継がれる、日本人の精神性を発見する痛快な評論。

目次

招魂斎庭が駐車場に変わる時
「英霊」たちを祀る空間
大村益次郎はなぜその場所を選んだのか
嘉仁親王は靖国神社がお好き
招魂社から靖国神社へ、そして大鳥居
河竹黙阿弥『島鵆月白浪』の「招魂社鳥居前の場」
遊就館と勧工場
日露戦争という巨大な見世物
九段坂を上る二人の男
軍人会館と野々宮アパート〔ほか〕

著者等紹介

坪内祐三[ツボウチユウゾウ]
1958(昭和33)年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。「東京人」編集部を経て、文筆家に
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hiroshi

10
何でもっと早く読まなかったか。痛快に面白い。今の「靖国神社」と呼ばれる場所で、競馬も開催され、相撲興行が催され、馬場・猪木を引き連れた力道山の空手チョップが見られたなんて・・・・。著者の「引用」スタイルに慣れないと読みにくいかもしれないが、それにより「靖国」が、歴史観・近代化というのがどんどん捻れていく。最終章でバッサリ結論するが、首相の公式参拝?対して中国等の批判?空虚で滑稽でしかない。歴史物なんて思い込まされてるだけなのか。それを覆すかのような坪内氏の「引用」癖?。会っておきたかった。会えてたのに。2022/02/02

活字の旅遊人

10
こういう歴史は、是非知っておいた方がいい。招魂社というのもそうだし、娯楽の場というのもそう。

Shinsuke Kato

9
今日では靖国神社といえば政治問題抜きでは語れない存在だが、本書ではまったく違った視点から靖国神社が語られるところが面白い。著者の文学や芸術に関する豊富な知識で日本の近代文化史、特に明治時代のモダンカルチャーが興味深く紐解かれる。明治期の靖国神社では競馬・サーカス・プロレス・相撲などの興行が開催され、当時の日本人にとってはモダンカルチャーの聖地だった。「伝統と思われている物の多くが、実は近代になって新たに人工的に創り出された物である」というエリック・ホブズボウムの著書からの引用が強く印象に残った。2014/04/07

勝浩1958

8
靖国神社の境内では、相撲やプロレスが行われたり、戦利品が陳列されていたり、仕掛け花火が打ち上げられたり、ということは、本来、靖国神社は今でいうアミューズメントパークであったのだ。とにかく、氏の廻り道や脱線が楽しい。それと、日本人が靖国神社に抱いているイメージに肩すかしをくらわすところが小気味良い。2012/06/13

tjZero

7
編集者は、いろんなライターから原稿を集めて、”編んで”、雑誌や書籍にまとめ上げる。名エディターでもあった坪内さんは、古書から丹念により集めた文献を編み、斬新な視点の評論集を作り上げた。右や左といったイデオロギーのフィルターをとっ払った、ありのままの靖国神社の姿が浮かび上がる。ディズニーランドのような、祝祭的なテーマパークになり得る存在だった…という史実に驚き。2020/07/07

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