内容説明
異常な記憶力、超人的行動力によって、南方熊楠は生存中からすでに伝説の人物だった。明治19年渡米、独学で粘菌類の採集研究を進める。中南米を放浪後、ロンドン大英博物館に勤務、革命家孫文とも親交を結ぶ。帰国後は熊野の自然のなかにあって終生在野の学者たることを貫く。おびただしい論文、随筆、書簡や日記を辿りつつ、その生涯に秘められた天才の素顔をあますところなく描く。
目次
神童クマグス
天下の男といわれたい
わが思うことは涯なし
フロリダ泥砂の中に埋もるや
馬小屋の哲人
Ros Marの謎
さらば孫文
龍動水滸伝
リバプールふたたび
孫文の白いヘルメット
熊野蒙昧の天地
わが頭抜けて那智山中を飛ぶ
われに恋慕の思いあり
帰りなんいざ
小生いまだ女を知らざりしなり
稲八金天大明権現王子の出現
予、警察署長を蛙の如く投げ
人魚の裁判
われゲスネルのごとく
人の交わりにも季節あり
蚤をとるか天下をとるか
時空のミケトゾア
雨にけぶる神島を見て
熊楠への旅のおわりに
対談 人間・南方熊楠に迫る(北杜夫・神坂次郎)