新潮文庫 バイエルの謎―日本文化になったピアノ教則本

安田 寛【著】

新潮社（2016/03発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 309p／高さ 16cm
• 商品コード 9784101202860
• NDC分類 762.34
• Cコード C0173

出版社内容情報

明治以来百余年、不動のロングセラーだった「バイエル」。みんな弾いてたあのピアノ教則本の作者を誰も知らない不思議に迫る。

ミドミドミソミド……。誰もが知る初級ピアノ教則本として、明治以来100年以上、日本人の音楽教育の基礎を担った「バイエル」。でも、その作者の経歴はなぜか誰も知らない。疑問に感じた著者はチェルニー偽名説、ペンネーム説など通説を再検討する一方、各国のオリジナル初版を手がかりに、そのルーツを探す旅に出たが。そして出会った驚きの新事実とは？　魅惑の音楽紀行が始まる！

内容説明

ミドミドミソミド…。誰もが習う初級ピアノ教則本として、明治以来１００年以上、日本人の音楽教育の基礎を担った「バイエル」。でも、その作者の経歴はなぜか誰も知らない。疑問に感じた著者はチェルニー偽名説、ペンネーム説など通説を再検討する一方、各国のオリジナル初版を手がかりに、そのルーツを探す旅に出た。遠く異郷で出会った驚きの新事実とは？魅惑の音楽紀行が始まる！

目次

バイエルをめぐる日本人の愛憎
バイエルを日本に持ってきたのは誰だ？
初版はいつ出版されたのか？
バイエル偽名説
チェルニー・バイエル同一人物説
バイエル初版
驚異の多作家
最古のバイエル
エディション研究
静かにした手
シュークリーム
改築申請書
最後の秘密

著者等紹介

安田寛［ヤスダヒロシ］
１９４８（昭和２３）年山口県生れ。’７４年国立音楽大学大学院音楽研究科音楽美学修士課程修了。２００１（平成１３）年奈良教育大学教授。’１３年定年退官し現在同大学名誉教授。’０１年放送文化基金賞番組部門個別分野「音響効果賞」、’０５年社団法人日本童謡協会日本童謡賞・特別賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[スパシーバ@日日是決戦]

{2016年} <2010年に出版されたものの文庫化> ｢実際､生徒が1年かせいぜい２年で習得できる教材を初心者に提供するための入門書を作ろうとしたに過ぎない｣｡作者について記録がまったく残っていない｡バイエル偽名説､チェルニー同一人物説もあながち否定できない｡果たして真相に辿り着けたのか! ピアノを習った方のほとんどがこの教則本のお世話になっていた､と初めて知った次第です｡｢ピアノ｣と聞けば｢深窓の令嬢｣のイメージからいまだ脱却できない(笑)｡カーテン越しに透けて見える演奏しているお姿に思わず..｡

2016/10/10

[へくとぱすかる]

ある意味、日本に最も影響を与えた音楽家であるバイエル。まさかそのプロフィールが謎に包まれていたとは。偽名説、合作ペンネーム説までも！　私はピアノをピの字も弾けないので、この本を読む資格がないのかもしれないが、歴史探求の書として読ませてもらった。まさに感動！　今はネット時代だが、足を使って苦労を重ねた探求にこそ、幸運の女神はほほえんでくれるのだ。ラストの絵が心憎い。

2017/01/13

[detu]

読み進めるのにかなり手こずった。ピアノを弾かないしバイエルなる教則本も手にしたことすらないからだ。それでも著者の言う「日本のピアノ文化に最も影響がある教則本なのに解らないことだらけだ」というテーマに興味がわく。世界中の音楽家から酷評のバイエルが何故日本では持て囃されたのか、バイエルは実在したのか？謎だらけである。ただ歴史捜査的な回りくどさとバイエル教則本の専門的掘り下げは少しお手上げでした。感動したの正式タイトル『フェルディナントバイエル作品101母たちに捧げる最も幼い生徒のためのビアノ入門書』だそうだ。

2016/05/26

[ホークス]

日本では入門書の代名詞にまでなったピアノ教本バイエル。しかし近年は時代遅れと批判され、ドイツの音楽家とされるバイエルの人生もほとんど謎である。著者は教本バイエルと音楽家バイエルの実像を様々な方法で探究する。19世紀ドイツにおける音楽の状況、明治の日本がピアノをどう受け入れたかなど、音楽に疎い自分には新しい体験となった。後半のドイツ探索記は非常にスリリングで、本書のキモと言えるが、さらに著者は、探索を通じてバイエルの魅力の真相にも迫っていく。提示される音楽的意外性は、素人にギリギリ分かる絶妙なレベル。

2017/10/28

[sakai]

子供の頃、バイエル習っている子に憧れを抱いたなぁ。自分はヤマハ音楽教室に通っていたので、バイエルは通らなかった。そんな憧れのバイエルが、まさかこれほどまでに謎な人だったとは。著者がバイエルの謎を解き明かすべく奔走する様子がまるでミステリー小説のようで夢中になって読んだ。子供の頃、バイエルを習ったひとにぜひ読んで欲しい一冊。

2021/07/26