内容説明
動物写真家の夫に同行し、アフリカのタンザニアに住んだ著者は、自然と戦い、教えられ、感動し、そして本書を著した。滞在したセレンゲティ国立公園は平原の真ん中、家はあるが電気はない、水もたまにしか出ない。でもキリンが庭に食事に来るし、マサイの人も物珍しさに覗きに来る―自然の摂理を柔らかな感受性で受けとめてゆく四歳の薫ちゃんの言葉がすばらしい、一年半の記録。
目次
セレンゲティに行こう
セロネラの光と影
ンドゥトゥ湖のキャンプ
水をめぐるセロネラ
平原にはモーツァルトがよく似合う
ンゴロンゴロ・クレイターの片隅で
クワヘリ・セレンゲティ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
81
表題の「ポレポレ」は、スワヒリ語で「ゆっくり」といったくらいの意味。本書は、動物写真家の岩合光昭氏の夫人日出子さんによる1年半に及んだタンザニアのセレンゲティ滞在記だ。一人娘の薫ちゃんを連れて行くには、様々な逡巡もあったことだろう。それは結果的には良かったようだが(おそらくは)。思えば、誰にとってもこの人生は1回きりしかない。はからずもタンザニアで暮らすことになった日出子さんと薫ちゃんにとって、それは強烈な体験だっただろう。そしてエンディングがいい。私たち読者にとっても「永遠のセレンゲティ」がここにある。2013/10/11
10$の恋
41
縁と縁が繋がり、私が手にできた本。本との巡り逢いはいろんなキッカケで生まれる♪さて、本編の話。78個の段ボール箱+ランドクルーザー。一家でタンザニアへ1年半行くのだ!動物写真家の岩合光昭氏、日出子夫人、4才の愛娘・薫ちゃんの3人。目指すはセレンゲティ国立公園。マサイ語で「はてしない草原」て意味。なにかと勝手が違うアフリカ(当たり前か笑)、大地も天候も草木も動物も昆虫も、人間の都合なんてお構いなし。自然って厳しいのだよ。その中で、薫ちゃんのしなやかな心と朗らかさが何とも微笑ましかったな~👧♡🐘🐦️🐐2022/02/24
Koki Miyachi
10
動物写真家岩合光昭の奥様が描くタンザニア、セレンゲティ国立公園で過ごした1年半の滞在記。異国の地の不自由な環境にうまく折り合いをつけながら、たくましく適応してゆく。愛娘の薫ちゃんとの心温まる触れ合いを軸としながら、動物と四六時中、夢中になって向き合っている夫とぶつかりながらも、自然を楽しみ、ユーモアのセンスたっぷりに率直に描かれたアフリカ生活。一生に一度の、普通は一生に一度もない貴重な体験を共有できる。そんな本だ。2013/12/19
jun-june7
5
15年程前に読んだ時には、アフリカでの、ちょっと変わった生活のことのみを面白く感じられたものでしたが、主婦になった今、読み返してみると、「岩合光昭さんも、普通のダンナさんなんだなあ」などと感じました。村上龍さんのあとがきが、新鮮でした。2010/07/03
shima・shima
4
岩合光昭さんの写真が好きで読んでみた。 一番に思ったのは、岩合さんの奥様って大変!ということ。 アフリカの動物王国にも暮らせばそこに日常がある。毎日夫を仕事(撮影)に送り出し、家族の生活を支える妻。4歳の子連れでのアフリカ生活は無謀なのでは?という心配をよそに、子供は素晴らしい順応力でアフリカになじんでいく。時々ハッとするような言葉を発し、それは生きていく基本のよう。子供の目線、心ってすごい。こんな素敵な家族に支えられているからこそ、岩合さんは思う存分素敵な写真が撮れるのだろうなぁ。2013/07/25