内容説明
脚本家への道を歩みはじめ、徹夜続きで仕事に打ち込む姉・邦子を慈しみ支えた一人の男性がいた。一途で切ない、秘密の恋だった―。邦子が急逝して二十年、妹・和子は遺品の中から、亡き二人が四十年近く前に送りあった手紙をみつける。遺された文面から今なお香り立つ想いが、遠い日をよみがえらせ、妹は姉にそっと語りかけ始める…。幾つもの想いが響き合う、姉と妹の「最後の本」。
目次
第1部 手紙と日記
第2部 姉の“秘め事”(帰ることのない部屋で;遺品の整理;茶封筒のなかの“秘め事”;『父の詫び状』へのお詫び;故郷もどきへの“嫁入り”;『ままや』の暖簾をたたむ;私の知らない姉;N氏との出逢い;父のよそ見;母の率直な思い ほか)
著者等紹介
向田和子[ムコウダカズコ]
1938(昭和13)年東京生れ。実践女子短期大学卒業後、会社勤めや喫茶店経営を経て、’78年邦子とともに、東京赤坂で惣菜・酒の店「ままや」を開き、’98(平成10)年3月の閉店まで二十年間きりもりする
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
538
とてつもない「恋文」を読まされてしまった。読みながら(いや手にする前から)いくら公人だとはいえ、逝去後に私信を出版するというのはダメなんじゃないか、いやいや読みたい・・・の葛藤に悩まされながら。著者も、お姉さんの死後20年経ってやっと遺品の開封に踏み切れたのだとか。表紙のご本人の表情が、読み終わる前と後では大きく違って見える。あぁこんな恋を一生に一度できたらどんなにいいか。2024/08/08
シブ吉
111
向田邦子さんの残した遺品の、一冊の大学ノートと二冊の手帳、数通の手紙が入っている茶封筒。没後二十年近く経ってから封印を解いた時、そこに記されていたのは『秘められた恋』の日々だった。年の離れた妻子ある男との恋の結末に、ページをめくって愕然としました。そんな向田邦子さんが母親に言った言葉。「人間、オギャーと生まれた時から苦を背負ってるのよ。口に出して言うか、言わぬかの違いはあっても、誰にも苦労はある。そこを、どうしていくかが、知恵のつかいどころ。あまりクヨクヨしないで、時が経てば、笑い話になる。」2014/01/29
masa@レビューお休み中
87
古本屋で何気なく購入した本。実はこれ向田邦子の作品だとばかり思っていたんです。それがページを開いてみると、そこには実際の向田久美子が恋人に宛てた手紙と電報があるではないですか。さらにお相手の方の日記まで掲載されているのですから驚きです。没後20年経過してから妹である和子氏が文章を加筆して一冊の本にしたもの。物語やエッセイからでしか著者に接することがなかったのに…。これを読んでしまうと、作家ではなく一人間、一女性としての向田邦子を知ることになる。知ってなお凄い人、壮絶な人生だったなと思うわけです。2018/07/02
YM
81
向田邦子さんが恋人に宛てた手紙と、それにまつわるエピソードを妹さんがまとめた本。最後まで全部読んだら、もう一回手紙を読み返したくなりました。そしていろんな感情が込み上げて、ぐわんぐわんしました。僕はとっても悔しかった。人生とはこういうものなのか。これも人生ということなのか。100%生きようとした向田さんの作品を堪能しまくってやります。2015/01/05
honyomuhito
71
本書を読み、久しぶりに向田邦子の著作を読み返してみた。「思い出トランプ」。「阿修羅のごとく」。「父の詫び状」。向田邦子の書くものには凄みがある。本書を読んで、その凄みの正体が少しわかったような気がする。一種、露悪趣味的に描かれることもある作品は、家族が支えであり、飯のタネであり、笑いの対象であり、呪縛であったこの人の心の整理の手段だったのではないだろうか。家族の大黒柱のような存在であったこの人は、彼といる時だけ甘えられたのか。https://chirakattahondana.com/向田邦子の恋文/2018/09/16