内容説明
どこからか聞こえてくる「殺れ!」の声。殺意と肉欲に溢れる地上を舞台に、物語は進む―。暗い地下室で拳銃に脅かされながら、絵ハガキを作らされる男。河川敷で、殺人リハーサルを粛々と敢行するジャージ姿の一団。ペニスを露出させ、謎の人物を追う中年ルポライター…。それぞれが複雑に乱舞、絡み合いながら、前代未聞、仰天の結末へと突っ走る。異才が放つ、三島賞受賞の超問題作。
著者等紹介
中原昌也[ナカハラマサヤ]
1970(昭和45)年、東京生れ。2001(平成13)年、本作で三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
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hnzwd
47
少しずつ形を変えながら繰り返される暴力的な描写。各シーンは登場人物達が一部共通していながら、明確な繋がりはなし。起こる事件もだんだん大きくなるかと思えば、何も起こらないシーンも差し込まれて、、深読みすればいくらでも深読みできそうです。地の文の多くが、登場人物の思考の垂れ流しであるため、前の節と次の節で、まったく関係の無い、あるいは正反対の考えが書かれていたり。好き嫌いが完全に分かれる作品でしょうが、全員に共通する感想は恐らく『よくわからん』。よくわからん。2014/01/24
100
43
後書きと解説に記されている通りこの作品の面白さはバカバカしさにある。様式・手法の分析もあるが、この高純度のバカバカしさ抜きには成り立たない、当然。2021/05/23
なる
25
だって著者が暴力温泉芸者だもの、文脈の意図なんて探る方が間違っているんだ最初から。三島由紀夫賞の本作だけれど、著者の作っている音楽ジャンルに近しい、壮大なインプロビゼーションの塊だ。その塊を次から次へと投げつけられている感覚といえばいいのかな。しかもその塊もバロウズよろしくカットアップの模倣なんじゃないの?っていうくらいに文章の筋だけを通していてそれでいて男性器が濃い目である(当社比)。なんていうんだっけこういうの。ああ、そうだ、悪趣味だ。個人的に嫌いじゃあないけれど、嫌いな人は多いだろうな。2020/07/31
わむう
22
帯に書いているように狂気と倒錯の世界でした。2019/03/23
hit4papa
22
多視点で語られる登場人物たちの行動は群像劇というにはまとまりがなく、ストーリーを概括することすらできません。映像として切り取ったシーンをつなぐために文章をしたためたら作品になりました、という印象です。最近、物事を深く考えるのが面倒くさくなったのか、意味を見いだすのに努力がいる作品は苦手です。