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新潮文庫
接近

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  • サイズ 文庫判/ページ数 177p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101182322
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。学校教育が示すまま郷土の言葉を封じて生きる彼の前に、同じく郷土の言葉を封じたアメリカ人が突然日本兵の姿で現れる。本来出会うはずのなかった彼らは、努力をもって体得した日本の標準語で時間を共有し、意思を伝え、距離を詰めていく。人の必然にしたがって、相容れない価値観は「接近」した。

著者等紹介

古処誠二[コドコロセイジ]
1970(昭和45)年福岡県生れ。主な著書に『ルール』『七月七日』『遮断』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しいたけ

113
桜の花が咲く頃。物語の序盤から繰り返されるこのロジック。この言葉を胸に置き、どうか読んで味わって欲しい。わずか11歳で家族と離れ、戦地沖縄の地に在った少年の怒りと哀しみを。押しつけられた桜、踏みにじられた母国語、奪われた土地、誇り、命。人の正義を探す少年の澄んだ目に映るものは、砕け散り意味を問えないものになる。時折挟みこまれる、あの日声にならなかった少年の思いが胸を締めつける。石の礫のような小さい少年の報復。デイゴの花が咲く頃。いや戦争を思うときは必ず、私はこの少年を思い祈るだろう。弥一、君に近づきたい。2017/08/05

はらぺこ

33
特攻で亡くなった方と山賊まがいの奴が一緒に祀られてると思ったら何か不思議やなぁ。2015/05/28

Tadashi Tanohata

29
米軍が沖縄本島に上陸した時11歳だった、安次嶺弥一の壮絶な体験。誰を信じ、誰に助けを求めるのか。淡々と語られるその語り口が、最大限に悲劇を伝える。想像が遥かに及ばないラストに圧倒される。圧倒されても涙はない。やはり我々は沖縄の人の悲劇を30%も理解していないのでは。8月を前に読むべき一冊だった。2019/05/23

501

17
アメリカ軍の進撃が深まる沖縄戦を舞台とする。悪化する状況のなか敵軍のスパイが潜んでいる噂に住民の間に不信が蔓延する。主人公は、日本軍は島を守るものとして信頼を寄せ軍への奉仕を当然とする11歳の島の少年。道に飛び散る人肉を踏むのにも慣れる程の惨状に置かれながらも、豪で生活をともにする人びとと兵士との関わりの中で、彼は純真な目を通し何を信じるのかを判断する。この物語は彼の力強さの話ではない。彼の信念が破られ、決断する姿に戦争、沖縄戦の縮図を描く。中編ながらも戦時下の重みが伝わってくる。2015/11/14

月をみるもの

10
「宝島」のあとで読む。 もうひとりの「オンちゃん」の物語。2019/08/08

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