内容説明
西ローマ帝国の皇帝位を廃したオドアケルののち、テオドリック、テオダトゥスと、ゴート族の有力者がイタリア王を名乗り、統治を開始した。これに対して、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌスはヴァンダル族の支配する北アフリカ、続いてイタリアへと侵攻した。しかし、この17年にも及ぶ東西の攻防のいずこにも、ローマ人の姿はない。ローマ人はもはや地中海世界の主役ではなかったのである。空前絶後の世界帝国は、消え果ててしまったのだ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
422
前巻でローマ帝国が崩壊。この最終巻は、その後のローマ世界である。蛮族が各地に割拠し、ベルサリウスのイタリアへの出陣によってイタリアの全土が戦場となり荒廃してゆく。なにしろ、それは断続的にだが18年間にも及んだのであるから。やがて、地中海はイスラム勢力に席巻され、ここにあらゆる意味でローマ世界が消滅した。「『盛者必衰、諸行無常』―これが歴史の理ならば、後世のわれわれも、襟を正してそれを見送るのが、人々の営々たる努力のつみ重ねでもある歴史への、礼儀でではないだろうか」―塩野七生氏の結びの言葉である。お見事!2020/12/18
ケイ
101
西ローマ帝国滅亡後、現フランスはフランク王国が、ヒスパニアは西ゴート族が、北アフリカはヴァンダル族が力を持つ。現イタリア辺りでは、ゴート族のオドアケルが、次に東ゴート族のテオドリックが、ローマの権利を掌握。東ローマの皇帝、ユスティアヌスに命じられ、将軍ベルサリウスは北アフリカのヴァンダル王国を滅ぼしローマを守るためゴート族相手に奮戦するが、ローマは壊滅状態だった。ナルセスがローマに派遣され、ゴート族を追い出すも、皇帝とナルセスの死後、ローマは南下してきたロンバルド族に支配される。2014/12/15
レアル
92
ローマが滅ぶ。「ローマの息の根をとめたのは、蛮族ではなく、同朋であるはずの東ローマ帝国であったのだった」という件はいつ読んでも切なさがこみ上げる。昨年9月から読み始めたこのシリーズ、再読とはいえ、凄い達成感&充実感、そして至福な読書時間だった。 2014/07/13
優希
77
遂に最終巻です。西ローマ帝国滅亡後の諸々が描かれています。争いが終わるわけではなく、東西の攻防は続くのが歴史のしがらみというところでしょう。どんどん荒廃していくローマ。かつては権力で地中海の覇者であった帝国ですが、もはや中心都市ではなくなっていたのですね。絶対的帝国の消失にやるせなさを感じます。2018/11/12
KAZOO
73
この巻で興味深いことは、この西ローマ帝国が亡んだ後に、ブリタニア、ガリア、ヒスパニア、北アフリカなどのその後について触れられていることです。また東ローマ帝国のユスティニアヌス大帝が「ローマ法大全」を編纂したことです。今の様々な法律の原型となっているこの法律をまとめたのは大した業績であると思います。43巻を文庫で読みましたが、再度読みたくなる気がします。ギボンよりも人間が生きている感じで面白いと感じています。2015/05/21