内容説明
テオドシウス帝亡き後、帝国は二人の息子アルカディウスとホノリウスに託されることになった。皇宮に引きこもったホノリウスにかわって西ローマの防衛を託されたのは「半蛮族」の出自をもつ軍総司令官スティリコ。強い使命感をもって孤軍奮闘したが、帝国を守るため、蛮族と同盟を結ぼうとしたことでホノリウスの反感を買う。「最後のローマ人」と称えられた男は悲しい最後を迎え、将を失った首都ローマは蛮族に蹂躙されるのであった…。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
398
『ローマ人の物語』もいよいよ最終章に。この巻のタイトルは「最後のローマ人」。しかも、その最後のローマ人というのが、ヴァンダル族出身の父を持つ(母はローマ人)将軍スティリコだというのも、いかにもローマ帝国らしい。皇帝テシオドスの死後に帝国を受け継いだのは長男のアルカディウス(18歳)と次男のホノリウス(10歳)。この2人ほどローマ皇帝に相応しくない者たちもいないほどに無能。それもまたローマ帝国の最後に相応しいか。さて、スティリコだが、この人は武人の鑑、将軍の鑑とでもいうべき人材。さぞ無念であったことだろう。2020/12/16
ケイ
95
ミラノ司教アンブロシウスに跪いたテオドシウスは、二人の息子にローマを東西に分けて託す。西側の若いホノリウスの後ろ盾として、父が蛮族、母がローマ人のスティリコが選ばれる。この頃のローマはひたすら蛮族から攻められ、目立って勢いのあったのが蛮族のガリア人すらも蛮族と呼ぶフン族。ローマは持ちこたえられないと判断したスティリコはゴート族と同盟を結ぼうとするが、ホノリウスに断罪され死刑となった。現実を見れる人が国にいても、長がしっかりしなれば立ち行かなくなる。秀頼の下で奮闘した真田幸村や後藤又兵衛のことを考えた。2014/12/13
レアル
92
スティリコの巻。日本でいえばラストサムライかしら。。半蛮族と呼ばれながらも、真にローマ人であろうとした最後のローマ人。ローマの為に頑張ったのに処刑だなんて…後はローマの終わりを見届けるだけ!2014/07/05
優希
76
テオドシウス亡き後、ローマ帝国はアルカディウスとホノリウスが継ぐことになります。これは事実上、ローマの二分割と言えるでしょう。そんな中で最後の希望となったのはスティリコだったのかもしれません。半蛮族の出自ながら、強い意志で孤軍奮闘した姿が印象的です。しかしながら、最終的に将を失ったローマは蛮族の手に落ちることになるのでしょう。2018/11/12
KAZOO
70
ローマ人の物語も最終段階を迎えました。テオドシウス帝がなくなった後は息子二人が後を継いだが、軍の総司令官とその息子との確執、また蛮族が玉突き的にローマ帝国内に押し入り、さらにキリスト教徒などのありかたなどがローマを衰退させていきます。2015/05/21