出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
ヴェスパシアヌスの長男として皇位に就いたティトゥスは誠実を身上とし、ヴェスヴィオ山の噴火によるポンペイの全滅、そして首都ローマの火災という惨事にも対策を怠らなかった。しかし、不運にも病に倒れ、その治世は短命に終わる。続いて皇帝となった弟ドミティアヌスは、死後「記録抹殺刑」に処せられる。帝国の統治システムを強化し、安全保障にも尽力したにもかかわらず、なぜ市民や元老院からの憎悪の対象になったのか。
目次
第6章 皇帝ティトゥス(在位、紀元七九年六月二十四日‐八一年九月十三日)(ポンペイ;現場証人;第一の手紙;第二の手紙;陣頭指揮;死)
第7章 皇帝ドミティアヌス(在位、紀元八一年九月十四日‐九六年九月十八日)(「記録抹殺刑」;人間ドミティアヌス;ローマの皇帝とは ほか)
第8章 皇帝ネルヴァ(在位、紀元九六年九月十九日‐九八年一月二十七日)(“ショート・リリーフ”;トライアヌス登場;ローマの人事)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
404
主に第11代皇帝ドミティアヌスを描く。彼も先代皇帝のティトスとともにヴェスパシアヌスの息子だが、長男のティトスが父親似のズングリとした田舎っぽい体型と風貌であったのに対して、こちらは生粋のローマ貴族であるかのよう。彼の治世での最大の功績はリメス・ゲルマニクスの建設に着手したことだろう。一方、最大の失策はダキア戦役においてアグリコラを司令官として派遣しなかったことである。そのために苦戦を強いられるのだが、それにしても暗殺され「終身抹殺刑」に処せられるほどであったとは思えない。むしろ、よくやったのではないか。2020/08/20
ehirano1
131
皇帝云々よりも、ヴェスヴィオス火山(ポンペイ)噴火のドキュメンタリー(2つの手紙)に唯々圧倒されました。あの手紙は凄かったです。ローマ云々ではなく、噴火の件だけでも一冊の本になると思いました。2018/04/07
レアル
108
ティトゥス、ドミティアヌス、ネルヴァの治世。ヴェスビオ火山の災害処理やローマの火災処理に奮闘したが、病に倒れ短い治世だった兄のティトゥス。それを引き継いだ弟ドミティアヌスは「記録抹殺刑」にされるほどの悪政!「記録が抹殺されているという事であまり分からない」との事だが、それ程悪いとは思わないのだが…。そして五賢帝のネルヴァ登場。。 2014/02/12
ケイ
95
ヴェスパシアヌスの死後、長男のティトゥスが皇位を継ぐ。わずか2年の治世の間に、ポンペイの壊滅、ローマの大火の対策にあたる。その後、弟のドミティアヌスが皇位につくが、その時わずか30歳。統治に必要な実務経験もなかった。軍隊経験がなく、ダキアやブリタニアで苦戦し、その間に高地ゲルマニクス軍司令官が起こした反乱が失敗し、司令官クラスがたくさん処刑されたことで、属州出身のトライアヌスが幸運にも高地ゲルマニクス軍司令官となる。ドミティアヌスが皇后の奴隷に暗殺され、フラウヴィウス朝も終わり、ネルヴァが皇帝となる。2014/11/10
ハイク
94
ティトウスが皇帝になっている時にヴェスヴィオ火山が噴火しポンペイが全滅した。またローマに大火が襲った。これらの災害に対しティトウスは陣頭指揮を取り対処した。これらの災難心身共に疲れ僅か2年の在位の40歳で亡くなった。ヴェスバシアヌスの次男のドミティアヌスが30歳の若さで後を継いだ。彼は公共事業や芸術方面にも力を入れたが、元老院と対立し最後は暗殺された。その後を継いだのが重臣のネルヴァであった。彼からいわゆる五賢帝時代と呼ばれる治世が始まった。同時に次期皇帝にトラヤヌスを指名した。1年4か月の治世であった 2018/11/18