内容説明
50歳まで歴史家として生きてきたクラウディウスは、突然のカリグラの死により、帝位を継承することになった。カリグラは、わずか4年の在位の間に、健全だった財政と外政をことごとく破綻させていた。クラウディウスはまず、地に落ちていた帝政への人々の信頼を回復することから始め、問題を着実に解決していく。しかしこのクラウディウスには“悪妻”という最大の弱点があった。
目次
第3部 皇帝クラウディウス―在位、紀元四一年一月二十四日‐五四年十月十三日(予期せぬ皇位;歴史家皇帝;治世のスタート;信頼の回復;北アフリカ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
427
この巻を読んでいると、ほんとうに作家ならではのローマ史なのだなあと思う。史実の欠如を想像力で補ってくれるのだから。本書で取り上げられたのは、第4代皇帝のクラウディウス。皇帝になるなどとは本人も、周りの誰もが思ってもみなかった皇帝である。帝位に就いたのも50歳になってから。身体的にも恵まれず、女性にももてなかったようだ(カエサルとは大違いだ)。しかも、妻に選んだのはとんでもない女性たち。あげくには、妻に殺されてしまう。果たして悲運の皇帝だったか。どうやらそうではなく、14年の治世を全うして死んだようだ。2020/01/09
ehirano1
128
3番目は学者皇帝のクラウディウスさん。学者にしてはよく皇帝職を務められたのではないかと思いましたがネ(上から目線で申し訳ありません)。しかし如何せん学者特有の高い専門性の代償として発生する視野の狭さ、そこがネックになった模様です。2017/12/02
レアル
106
クラウディウス編。カリグラの地に落ちた帝政を立て直す事がまず第一にしなければならないことだった。国家財政の立て直しや外交問題等、カリグラの失政の後始末に奮闘するクラウディウス。しかし、妻のアグリッピーナの陰謀により…。28歳で殺害されたカリグラと違い、クラウディウスは50歳。豊富な知識で帝政を立て直したのに、妻に足元を救われるなんて~♪「可哀想!というより自業自得??」そしてネロ登場!2014/01/08
ハイク
99
カリグラの後はユリウス・クラウディウスが第4代のローマ皇帝となった。ティベリウスの甥で、カリグラの叔父であった。年齢は50歳で歴史家でありローマに関する歴史にも詳しかったようだ。その為カリグラの失敗を繰り替えさず、慎 重に着実に国家を運営している。そしてカリグラの失政を少しずつ取り戻した。クラディウスは皇帝になって13年が経ち63歳で亡くなった。毒キノコを食べて亡くなったという。一説には妻のアグリピーナの仕組んだ毒殺であるという。そして動機は彼女の息子のドミティウスを早く皇帝にしようと企んだという。 2018/10/08
ケイ
89
カリグラ暗殺後、近衛兵は彼の伯父でありゲルマニクスの弟であったクラウディウスを探し出し、次の皇帝へと支持を表明する。クラウディウスは50歳にして皇帝となり、アウグストゥスを目標に統治を始める。外見に恵まれず、武にも秀でていなかった歴史家の彼は、堅実な治世を行い、財政破綻も解消し、ユダヤ人問題にも取り組む。彼の政治の特徴は、自らの補佐に奴隷3人を用いたことであった。しかし、側近の3人がコントロールできなかったのは、皇帝の悪妻二人だ。一人目は死刑となり、彼は二人目(次の皇帝ネロの母)に殺されたとされる。2014/11/04