出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
一時はローマの喉元に迫る勢いを見せたカルタゴの将軍ハンニバルだったが、ローマの知将スキピオのスペイン攻略に恐れをなした本国から帰還命令を受ける。それを追うスキピオ。決戦の機運が高まる中、ハンニバルからの会談の提案が、スキピオの元に届けられた―一世紀以上にわたる「ポエニ戦役」も最終局面に突入。地中海の覇権の行方は?そして二人の好敵手の運命は。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
165
この巻の前半は、もはや「ハンニバル戦記」というよりは「スキピオ戦記」とでも言うべきもの。後半では歴史上に燦然とその名をとどめたハンニバルとスキピオの最後が描かれる。どちらも、あまりにも報われない晩年だ。そして、アレキサンダー大王の末裔たるマケドニアも、ハンニバルを生んだ西地中海の覇者カルタゴもついに滅亡する。まことに「盛者必衰」。ただ、ここには『平家物語』に見られるような「滅びの美学」はない。主人公たるローマは、まだまだ発展し続けるからだ。カルタゴの滅亡から46年―ユリウス・カエサルが生まれる。2012/09/12
ehirano1
164
やっと終わったポエニ戦争・・・しかしその数年後に起こる事件の後味の悪さは否めません(次世代の暗雲の予兆なのでしょうか?)。そして著者に不要と言わせたカルタゴ滅亡。これら全てに関わったハンニバルは良くも悪くも時代の犠牲者、と言えなくもないのではないかと思いました。では何の犠牲者なのか?おそらくローマ帝国の地中海覇権を確立させてしまった張本人として・・・。2016/10/07
優希
112
一時はローマに迫る勢いが見えたものの、スキピオの登場により、窮地に陥るハンニバル。決戦の運気の中で追い詰められていくことで、地中海の覇権の行方から目が離せなくなりました。カルタゴ滅亡という運命は最初から決まっていたのかもしれませんが、ハンニバルという英雄がその力を振るう時代があったことを忘れてはなりません。2018/01/21
レアル
104
ハンニバル戦記終了!ハンニバル対スキピオの戦いでスキピオのスペイン制覇。味方同士なら良い師弟関係だったかも。。そしてこれら名将2人の時代も終わり、ローマは帝国主義へと進んでいく。。 図解と年表でとても分かりやすいし、物語としても面白い。2013/09/29
ケイ
96
カルタゴの本土での、ハンニバル対スキピオの「ザマの戦い」は、スキピオの左腕ともなるマシニッサ支配下とヌミディアの協力もあり、ローマが勝利。カルタゴはローマ連合の一員となり、スキピオは「アフリカヌス」という尊称で呼ばれるようになる。その後、スキピオ率いるローマはシリアに勝ってアジアにも広がるが、スキピオは大カトーによって弾劾され失脚。その4年後にスキピオは病没、同じ年にハンニバルは自殺する。そしてローマに逆らおうとしマケドニア、カルタゴは滅亡し、スペイン全土も領有することでローマは拡大していく。2014/10/08