出版社内容情報
芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア……。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その歴史はとりわけ奥が深く、人間は甚だ複雑微妙で、ぞくぞくするほど面白い。──壮大なライフ・ワーク『ローマ人の物語』へと至る遥かな足跡の一端を明かして、人生の豊かな味わいに誘う24のエセー。
内容説明
芳醇なるブドウ酒の地中海。死んでいく都、ヴェネツィア。生き馬の眼を抜くローマ。だましの天才はナポリ人。田園風景に、マフィア…。ここ、イタリアの風光は飽くまで美しく、その歴史はとりわけ奥が深く、人間は甚だ複雑微妙で、ぞくぞくするほど面白い。―壮大なライフ・ワーク『ローマ人の物語』へと至る遙かな足跡の一端を明かして、人生の豊かな味わいに誘う24のエセー。
目次
カイロから来た男
骸骨寺
法王庁の抜け穴
皇帝いぬまにネズミはびこる
永遠の都
M伯爵
仕立て屋プッチ
通夜の客
ある軍医候補生の手記
アメリカ・アメリカ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
147
塩野さんのイタリアに関するエッセイで再読です。何度読んでも飽きがこずに新たな感激があります。「骸骨寺」「法王庁の抜け穴」「「シチリア」「マフィア」などは新しい発見がある感じです。もうかなり書いてから時間がたっているのですがいつも新鮮です。2017/03/15
KAZOO
103
塩野さんのエッセイ集です。24の話が詰まっていてそれぞれが味わい深いものがあります。イタリアにはこんなところもありますよ、という感じで読んでいてイタリアに行きたくなります。観光地案内とは別なのですが、人間や自然が非常に魅力的に描かれています。2015/07/30
U
45
硬くきりりとした文体が持ち味、イタリアを舞台とした歴史小説で著名な、塩野七生さん。本作は、彼女のエッセー集です。レアな印象を受けたし、気軽に楽しめたら、と思い手にとりました。すごく、よかった!イタリアに行った気分を堪能できました。とくに気に入ったのは「ある軍医候補生の手記」と「ナポレターノ」。塩野さんのユーモアが新鮮で、これぞ読書の醍醐味!と納得&うれしくなりました。エッセーって、よみやすくていいなあ。鎌倉と江の島をひとり旅したとき、おともに持っていった本でもあったので、わたしにとってとくべつな一冊です。2016/05/26
tapioka
36
滞在中の出来事など、イタリアを描いた塩野さんのエッセイ集。古代ローマなどの歴史に精通した立場で描いているからこそ、一般人が感じる「歴史がある」といった表面的なものではなく、イタリアの人物や建物への深い洞察が文章の至る所から感じられました。また、塩野さんのイタリア愛ゆえの厳しい言葉もあり、車を盗んだ泥棒の手際を讃える言葉もあり、味わい深い内容でした。好きなエッセイは「骸骨寺」「M伯爵」「ある軍医候補の手記」「ナポレターノ」です。イタリアもパスタも好きな私としては、イタリアの美しさや魅力に浸れて満足です。2016/10/18
ドナルド@灯れ松明の火
30
塩野さんのエッセイは初めてだが素晴らしかった。読んでいて瑞々しく、しかも盲目的にイタリアを賛美するわけでもなく、冷静で批判的な目を持ちユーモアに富んだ文章に引き込まれてしまった。これが昭和47年に書かれたとは驚愕である。どのエッセイもいいのだが「仕立て屋ブッチ」「トリエステ・国境の町」「ナポレターノ」「シチリア」がとりわけ気に入った。超お薦め。2013/09/30