新潮文庫<br> 百年の旅人たち

新潮文庫
百年の旅人たち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 726p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101172026
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

青森港に降り立ったのは老若男女とりまぜて二十人ばかりの朝鮮人だった。ついこの前まで日本人としてカラフトに暮した彼らが、今は日本への不法入国者として故国へ強制送還されようとしていた。敗戦の日本を縦断する押送列車の一つ車輛の中で、しかし彼らの思いは決して一つではなかった…。混乱の時代の体験を基に、人間の諸相を根源から見つめ尽す記念碑的大作。野間文芸賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tasuku Seo

1
日本の敗戦を機に、植民地出身の日本人から戦勝国の外国人になった朝鮮人。立場ががらりと変わり当然周りの環境もがらりと変わる。警察官の態度から日本人全体の態度から。でも戦勝国になったからといって、個人個人が一気に変わるわけではない。植民地根性を引きづる者もいるし、良い人であることも変わらない者もいる。個人の基本的性質は所属する国家の状況もその一つだが、家族・友人・親族・仕事…様々な関わりのなかで形成されるものであって、個人個人の単位でそれぞれ世界があることを気づかされた。2022/03/26

Hiroshi Takeshita

1
718ページあるが、登場人物の造形を徐々に明らかにしていく手法で長さを感じさせない。読み手はリアルに日本列島を縦断する旅に同行するような思いを持って読むことが出来る。軸になる父と子の話はきっと自伝的なモノが多分に含まれて居て、不仲で不器用であった関係をある意味精算するつもりで、描いたのかなとも思わせる。或いは父に対する、贖罪、鎮魂なのかも知れない。その動機はよく分かるのだ。そんな動機で、描く本が有っても良いだろう。因みに朱は、デイジーや消しゴムのあの彼である。カッコいいんだよね彼。2018/01/25

Quijimna

0
「砂漠谷にいこうかの」ゴルゴダの丘に登るキリストの姿と在日の歴史を重ねるように静かに綴られた李恢成文学の集大成。★★★★★2003/05/28

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