内容説明
確固とした日常に支えられたこの地平を超えて遙か向うを眺めれば、果しなく自由で華麗なる狂気の世界が拡がる―著者は、あたかもささやかな身辺雑記を綴るかのごとく筆を進めながら、実はあなたをアイロニカルな現代批評と潜在的狂気の発掘へと導いてくれるのです。随筆のパロディとも言えるユニークなエッセイ118編は、山藤章二の傑作イラストとコンビを組んでいます。
目次
随筆
パチンコ
討論
電話
煙草
蒸発
カボチャ
保険
童話
エノケン〔ほか〕
著者等紹介
筒井康隆[ツツイヤスタカ]
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。’60年、弟3人とSF同人誌“NULL”を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が“宝石”に転載される。’65年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。’81年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、’87年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、’89(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、’92年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。’96年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。97年パゾリーニ賞受賞。2000年『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。02年、紫綬褒章受章。10年菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
197
神戸市垂水のパチンコ店に来る変な客、ジャーンと鳴る黒電話、こんな地域ネタや時代ネタから始まり下ネタ・汚物ネタの渦に巻き込まれていくスリルと快感。陰嚢の腫れ物から滴る血を押さえていた女性用生理用品を商店街の真ん中で落とす話、駅の痰壺の中身がいかに美味かをSF作家の想像力を駆使して描く話、フナに苛められ犯される金魚といった生物ネタから、寄生虫・悪食など戦時ネタへ。狂気が日常から溢れて本の中を踊り回り、宇宙的ジャズ的ハチャメチャな新しい生命観へ駆け抜けていく。これって、メタモルフォセス群島への大いなる助走では?2023/07/17
i-miya
62
2014.01.30(01/30)(再読)筒井康隆著。 01/30 (解説=堀晃) 筒井は作品から想像して、気狂(きちが)いじみた人物ではない、礼儀正しい。 熱心な読者からは常識である。 その常識を改めて書いたのがこの本である。 本書は随筆集である。 「随筆」というタイトルの随筆から始まっているこの本。 新聞連載。 随筆集のパロディともいえる。 大阪時代、東京時代、神戸時代。 青山、梅ヶ枝、垂水。 青山時代=あらえっさっさーの時代。 2014/01/30
detu
48
高校生で読んだのが初めて。当時あまりに面白くて読み返すこと数回、あれからウン十年過ぎ手いいオッサンとなった今読んでも面白いと思う。殆ど覚えていた。ただ今の時代ではおおいに顰蹙を買うような件も多々。筒井康隆は20代後半まで貪り読んだ。多分に今現在のネジ曲がった人格形成に影響していると思う(笑)2017/05/25
GaGa
46
このエッセイは全集にも載せられているが、山藤章二氏のイラストは載せられていない。なので、この文庫本は今や貴重品かもしれない。当然エッセイだけでも面白いが山藤氏のイラストは、エッセイの内容を補足するかのようで素晴らしい。2012/11/15
kinupon
41
筒井康隆ワールド全開の本です。切り口も鋭いし、内容も今もってあせていません。恐るべし筒井康隆・・・・。2015/03/20