感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海恵 ふきる
9
丸谷才一の、ユーモアに溢れた軽妙洒脱なエッセイがたっぷり楽しめる一冊。思わず声を出して笑ってしまうところもあった。様々な文人との交流が等身大で描かれる本書だが、連歌の付合形式に則り詩人の田村隆一と散文を交わし合う第5章には、特にお得感(こう言っちゃなんだが)を感じた。丸谷先生と田村先生の文体の違いを楽しめるからだ。文庫本のカバーのあらすじに使われている表現が言い得て妙だったので、参考のために引き写しておく。「大人のための人生副読本」。2021/09/09
KAZOO
7
丸谷さんは結構昔サラリーマン向けの随筆を結構書かれていてそのころにファンになったという覚えがあります。ハウツーばかりではなく、なんとなく教養めいたものを感じさせてくれたからでしょうか?今読みなおしても決して古くはなく、このような本を読めない若い人はかわいそうだなあと感じることもあります。まあスマホで代用してはいると思うのですが。2014/05/04
ダイキ
3
「〔文月や六日も常の夜には似ず 芭蕉〕星の数ほどある七夕の発句のなかでも、これほど粋なものはほかにないやうな気がする。しやれくりかへることが売物の幕末の宗匠たちには、かういふ微妙な色気はとても出せなかつた。[略]せつかちな奴は前の晩からそはそはして、ネクタイを選んだりする。さういふ花やいだ気分を、「常の夜には似ず」と言ひ切つたわけで、逢びきの前夜のかういふ心理をとらへるあたり、芭蕉といふのはたしかに定説どほり、その道ではずいぶん苦労した男にちがひない。」〈七月七日のこと〉2018/12/13
tkm66
1
おそらく最初に読んだのは14歳くらい・兄の蔵書から。'80年くらいか。2014/11/22
ふ
1
日本文学に詳しいわけでもないですので肖像画集のところはほぼ知らない人だらけでしたが、それでも楽しめました。クスッと笑える、それでいて上品で知的なお話ばかり。一つ一つ題名の付け方が好きです。2015/04/11