新潮文庫<br> 死よりも遠くへ

新潮文庫
死よりも遠くへ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 295p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784101163123
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

死ぬときは独りぼっち、と誰もがうすうすは気づいている。しかし、死に至る者よりも、生きている人々のほうが、本当はずっと孤独で寂しいのではないか―。死んでいった者は、その周囲の人々の生の現実を浮き彫りにする。アイドル歌手の岡田有希子、豊田商事事件の永野一男昭和天皇など、一つの時代の終わりの6つの「生と死の風景」を、気鋭の作家が鮮やかに描くノンフィクション。

目次

境界領域で―プロローグ(ノンフィクションとフィクションの領域が交錯する場所に表現の深淵がある。取材現場の彼方に見える事実とは何か。)
二千億円の彼方
アイドルの遺言
優等生の退屈で冷たい気分(「やはり、高橋和巳は越えられなかった」―愛人の看護婦を殺害した元学生運動家の医師・森川映之の、焦燥と挫折。)
それから、廃墟はにぎやかに(観光客で賑わう京都金閣寺。戦争、炎上、古都税…。五十年間住職として生きた禅僧村上慈海が体現した戦後の姿。)
強いられた転轍(生の陰には死がある。国鉄がJRに生まれ変わる激動の中で追い詰められ、自ら命を絶った男たちの、生と死の風景。)
あの日、皇居前午前零時(そのとき、皇居前広場は美しい幻想空間となった。矛盾に引き裂かれた時代の終焉に立ち会った人々が重い口を開く。)
失われた物語に向かって―エピローグ(賑やかな言葉が滑走する現代に横たわる死者たち、その死の周辺に漂う孤立と憎しみの気配を突き抜ける物語の不在。)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エリ本

8
今まで読んだことのない事件がテーマだったので興味深かった。「豊田商事会長刺殺事件」「岡田有希子飛び降り自殺」「エリート医師、看護師遺棄事件」「金閣寺放火事件」「国鉄分割民営化における多発した職員の自殺」「昭和天皇崩御」どうでしょう😅あんまり興味ないですか?2023/10/01

ウマカラス

1
豊田商事会長の刺殺事件を知りたくて図書館で借りてみた。大勢のマスコミの前(と言っても部屋の中の見えないところだが)で殺人事件が起こるという、当時子供だった僕にとって理解を超えたショッキングな事件だったので。が、事件というより殺された会長自身にフォーカスしており僕の勝手なイメージとは違った感じ。それよりも岡田有希子の自殺、昭和天皇崩御のルポは、昭和の暗い部分を切り取って描かれており読み応えあった。とは言え全体的にはさほど興味が持続できず未読の章もあったが返却。2020/11/06

きたくり

1
豊田商事会長刺殺事件、岡田有希子の自殺、放火された金閣寺の住職、昭和天皇の崩御、など6つのノンフィクション。事件は怖ろしかったり不気味だったりもするんだけど、文章が静かで真摯な感じがして引き込まれる本だった。プロローグとエピローグもよかった。2014/11/09

カルマンGT

0
子供の頃、テレビを見ていて、男が「今から人を殺しに行く」と言ってマンションの一室に侵入し、その後血の付いた刃物を持って出て来た映像を見た。その一部始終がテレビカメラに収められ、その間誰も止める者がいなかった事に非常にショックを受けた記憶がある。この豊田商事社長殺人事件についての記述があったため、手に取ることにした。この事件以外にも死んでいった人々に対し作者は非常に根気よく丁寧に取材をし、読者に「何か」を伝えているように感じた。人の人生も様々だ。今でもこんな活動をしている人達が日の目を見るのを期待したい。2013/05/21

光雲

0
もとは豊田商事の事件が気になって(確かこの事件のドキュメンタリーに著者が出てた)読み始め、永野の生い立ちに焦点が当てられていたけど、どのような手口で詐欺を働いたのかなど知りたかったです。でも興味深い題材が多く、アイドル岡田由希子についてもほぼ知識なかったし、天皇崩御の時の昭和が終わる様子など皇居の辺りはどんな情景だったのかなと昭和の時代を想像しながらあっという間に読み終わりました。文体が小説っぽい印象。2021/05/08

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