新潮文庫<br> 民族世界地図

新潮文庫
民族世界地図

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  • サイズ 文庫判/ページ数 199p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101160214
  • NDC分類 316.8
  • Cコード C0130

内容説明

日本人ほど民族問題に鈍感な民族はいない!尖閣諸島をめぐる中華ナショナリズム。予断を許さぬパレスチナ情勢。米国の中核をいまなお握るWASPなど、特派記者として現場を歩き続けた国際政治学者が、報復と憎悪が充満する民族対立の構図を、地図を駆使して鋭く分析する。単行本収録の30編に書き下ろし2編を加えた本書は、複雑に入り組んだ民族問題を読み解く絶好の解説書。

目次

序 「民族」を定義するむずかしさ
濃淡差くっきり、中華ナショナリズム
小国カンボジアの悲哀と不安
アルメニア人―カフカスに浮ぶ孤島
人工的共和国モルダビアの原点
アメリカのユダヤ人
ヨーロッパに甦る反ユダヤ主義
ケベックの「教訓」
中国内朝鮮民族192万人
「アラブ」とは誰か〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

126
タイトルには「民族」とあるが、民族の定義はできないというのが本書の出発点だ。著者の浅井信雄は、文字通りに世界を股に掛ける国際派ジャーナリスト。この本が書かれたのは17年も前なのだが、ここでの様々な対立の構図は、今も基本的には変わらない。そして、民族の名のもとに世界のあちこちで紛争や殺戮が繰り返されている。こうした構造を超克するだけの論理や原理を残念ながら我々は未だ持つに至っていないということなのだろう。とりわけクルドやパレスチナの混迷は深い。2014/01/29

ヴェルナーの日記

45
まず、著者・浅井信雄氏のご冥福をお祈りします。同氏は、某サンデーモーニングのコメンテーターとしても著名であり、真に残念であります。本書は80年代末に東西冷戦という、イデオロギーにて世界を分割していたロジックがベルリンの壁崩壊と共に終焉した。それまでイデオロギーの影でくすぶっていた民族というナショナリズムが、代わりに台頭し、世界に古くて新しい世界構造が構築されていくが、元が歴史的に古いがために根が深い紛争の火種となっている。それらの構図を地図入りで、分かりやすく解説している一冊だ。2015/03/24

ちくわん

21
1993年4月の本(元々の単行本)。「日本人のカズオ・イシグロがロンドンに居住して英語で小説を書く」という違和感だらけの表現の理由は本書の書かれた時期にあった。テーマである「民族」は、やはり定義らしいものはなく、総合的な判断なのか、結果論なのか、わからないままだった。2021/10/26

ナハチガル

18
ちょっと古いけど、世界の民族について書かれたコンパクトな本としてはまずまずだと思う。浅すぎす、深掘りしすぎず、「へぇ~」と感心するようなトピックが揃えられている。そう言えばジプシーがどこから来たのかなんて考えたことなかったし、ケベック州で独立の問題があるとかなんて知らなかったし、最後を「日本」で締めるのもにくい演出だ。プライベートな話題を盛り込んだ後書きはもうひとつ。目次だけ横書きなのは謎(読みにくい)。「弱者優遇と差別は区別しにくい」ということを踏まえておくのは重要だ。B 。2023/03/21

いっしー

18
少し前の出版で状況が変わっているところもあるが、民族の根本から世界の勢力図を知るのには適した書籍である。アルメニア、ケベック、そしてフィンランドなど、普段あまり接点が少ない国、地域の概略を知ることができた。そして何より、世界を知ることは日本を知ること。巻末の日本人の多様性と均質化の記述にあるように、日本人の起源には不明な点も少なくない。それが、日本人とは何か、という議論が活発な所以の一つでもあろう。2016/08/07

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