内容説明
徳川家康のめぐらす謀りごとを実現すべく働き抜いた山口新五郎は、江戸開府後、六十歳を過ぎて初めて女体に接した。そして二度も十代の嫁を娶ることになる、この男の生涯を描いた「黒幕」。夫の仇と襲った相手が従容として、己れの左腕を斬り落とさせる姿に心を打たれ、その男の妻となる戦国の女を描いた「猛婦」。他に「勘兵衛奉公記」「槍の大蔵」など、初収録4編を含む11編を収録。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。下谷・西町小学校を卒業後、茅場町の株式仲買店に勤める。戦後、東京都の職員となり、下谷区役所等に勤務。長谷川伸の門下に入り、新国劇の脚本・演出を担当。1960(昭和35)年、「錯乱」で直木賞受賞。「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3大シリーズをはじめとする膨大な作品群が絶大な人気を博しているなか、急性白血病で永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
126
戦国期の短編10編、幕末期の短編1編を収録。池波正太郎氏の作品にて、真田物も多いですね。どの作品も読ませますが、「戦国幻想曲」の雛型とも言える「勘兵衛奉公記」、真田信之を主人公とした「獅子の眠り」、桐野利秋と元幕臣の交流を描いた「開化散髪どころ」の3編が特に印象的でした。「獅子の眠り」では名君真田信之の晩年と幕閣との暗闘が描かれる。事件の真相に驚かされる。「開化散髪どころ」では中村半次郎の左中指を切り落とした小野助三郎が、維新後の桐野利秋との交流と現代迄続く血脈に新鮮さを感じた。味わい深い爽やかな短編集。2016/02/27
優希
53
面白かったです。戦国時代が中心なので興味深く読みました。『真田太平記』の前日譚とも言える短編が特に惹かれました。短編でも長編を読んだような満足感を味わえるのは、池波氏の力なのでしょう。2023/03/15
ポチ
52
短編とは言えしっかりと読ませるのは、流石に池波先生。唯一の明治初期を題材にした作品『開化散髪どころ』は、桐野利秋の爽やかさがとてもいい。2019/01/06
けやき
52
「雲州英雄記」「孟婦」「勘兵衛奉公記」「霧の女」「夫婦の城」「紅炎」「黒幕」「槍の大蔵」「命の城」「獅子の眠り」「開化散髪どころ」の十一編。真田ものの比率が多かったかも。僕が、大坂の陣で活躍した毛利勝永を初めて知ったのも池波作品だったけど、その勝永が主人公の「紅炎」も収録されてた。幕末好きの僕としては「開化散髪どころ」がお気に入り。2016/11/03
優希
48
再読です。戦国ものを中心とした短編集。どの短編も面白く、引き込まれました。真田ものが結構あったので、真田太平記を読んでいるとより楽しめるのでしょう。真田太記が久々に読みたくなりました。2024/04/08