内容説明
真剣勝負のその日、波切八郎はついに姿を現わさなかった。しかし秋山小兵衛はなぜか八郎を憎めない。一流の剣客が約束を違えるとはよほどの事がその身を襲ったからであり、実際、道場出奔後、八郎の運命は激烈に転変し、見えない勢力に操られ人斬りを重ねる日々であった。対照的な生き方をとる二人は、互いへの想いを断てぬまま思いがけぬ所で…。「剣客商売」ファン必読の番外編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まめこ
18
★★★☆☆波切氏の煩悶長すぎる…というのが正直なところ。優しくて真面目なだけに水野みたいに悪に振り切れず、お信さんや岡本氏、市蔵にほだされ振り回されブレブレだし(笑)。これが本編で小兵衛さんや大治郎がメインで動き回るのだったら、また違ったかもしれないな。やーっと心が固まったのに、こんな形で再開させるなんてっ!あんなに悶々させたんだから、せめて剣士として戦わせてあげてほしかったよ。2023/03/05
たーくん
8
真剣勝負のその日、波切八郎はついに姿を現わさなかった。しかし秋山小兵衛はなぜか八郎を憎めない。一流の剣客が約束を違えるとはよほどの事がその身を襲ったからであり、実際、道場出奔後、八郎の運命は激烈に転変し、見えない勢力に操られ人斬りを重ねる日々であった。対照的な生き方をとる二人は、互いへの想いを断てぬまま思いがけぬ所で…。「剣客商売」ファン必読の番外編。 2019/06/27
Taito Alkara
7
解説者も言うように、なんというストーリーテリングだろう。段落がぽんぽん変わるのに、ぶつ切り感はなく、まったく違和感なく読めてしまう。これを読んでから剣客商売シリーズを読めばよかったというくらいだから、池波小説初完読がこれでラッキーでした。2017/03/08
toshi
4
本編は何度も読み返しているけれど、この番外編は多分新刊で買ったときに読んで以来。 小兵衛の若い時の話と言うより、波切八郎が主人公で小兵衛は脇役。小兵衛以外の剣客ファミリーもほとんど登場しない。弥七の父の助五郎が少し活躍する程度。 本編で回想される場面が登場したりして、物語としては充分面白いけれど、やっぱり本編にはかなわない。
しのさん
2
秋山小兵衛の感にも驚くが、物語全体の運びが素晴らしい。この先どう展開するのかとわくわくさせられる。2013/06/05