出版社内容情報
神出鬼没、変幻自在の怪盗・雲霧。政争渦巻く八代将軍・吉宗の時代、狙いをつけた金蔵をめざして、西へ東へ盗賊一味の影が走る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
徹底的な非情さがスリリングな展開を繰り広げているようでした。尾張の盗みに成功した後は、再び江戸で暗躍をする様子がかっこいいです。何度も仁左衛門一味に煮え湯を飲まされる火付盗賊改方の執念も凄い。両者のせめぎ合いにハラハラしました。稀代の大怪盗は、胸の内の最後の盗みを成功させることができるのかがヤマと言えるでしょう。ふんだんに盛り込まれた伏線や要素が時代小説の醍醐味を味わわせてくれました。最後は敗北なのかモヤっとしますし、その後が気になりますが面白かったです。2016/03/12
ポチ
62
盗賊・雲霧仁左衛門一味、安部式部率いる火盗改。知らぬ間に徐々に追い詰められる仁左衛門一味だが、今回も火盗改の鼻を明かす事が出来るのか、魅力的な男達の攻防が面白い。2019/06/25
優希
51
もう面白すぎるとしか言えません。名古屋城下で負傷なく金銭の盗みを成し遂げた霧雲一味は再び江戸へ。仁左衛門は最後の務めを無事成し遂げられるか気になって仕方ありませんでした。稀代の盗賊の暗躍にすっかり魅せられてしまいました。この作品は何度も読みたいですね。2023/02/13
アッキ@道央民
50
いや〜っ、面白かった。盗賊の雲霧一党を捕らえるという一心の火盗改の同心・密偵達と、雲霧仁左衛門率いる盗賊達の攻防が展開していく後編。江戸でのお盗めを狙って密かに仕度を進めていく様子や、ふとした切っ掛けを元に一味の手掛かりを手繰り寄せて執念の探索を続ける様子、展開も早くて次はどうなるんだろうと読み始めたらページを捲る手が止まらなくなります。心理戦あり、探り合いあり、まさしく江戸時代版のスパイミステリーのよう。池波さんの江戸の描写もまるでその時代に入り込んだみたいな感覚になります。2018/01/28
GaGa
45
再読です。前半と後半で、雲霧一味と火盗改めとの主役が入れ替わってしまう図式はやはり読み手にとっては難しいと思う。でも映画作品を観て、逆にこの小説の価値は高くなった気がする。TV作品は観ていないので、この世界観を堪能させる映像作品を新たに見たい気がする。2012/07/16