内容説明
’85年9月、プラザ合意が成立。急速な円高が進行し、日本はバブル景気に沸き返った。いっぽう豊田商事会長刺殺など経済事件も多発。このころ司馬遼太郎は『アメリカ素描』を連載、また『この国のかたち』の執筆を開始している。’87年、『ロシアについて―北方の原形』で読売文学賞を受賞。この巻は「義経と静御前」「時代を超えた竜馬の魅力」「私の古代像」や近藤紘一への弔辞など54篇。
目次
バスクへの盡きぬ回想(写真集『街道をゆく 南蛮のみち』)
反省会のことなど
愛山の周辺(『山路愛山集』)
少年の心
ソウルの吉鳥(『日韓 ソウルの友情』)
無題(宮崎十三八著『私の城下町―会津若松』)
日韓断想
魂の戦慄(「上方花舞台」)
甦った人間たち(第17回日本文学大賞(学芸部門)選評)
時代を超えた竜馬の魅力〔ほか〕
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
1923‐1996。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。’93(平成5)年には文化勲章を受章。“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。享年72(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
51
並行して『この国のかたち』の執筆を開始しています。自己の中の歴史観と国の見方が確固たるものとなったからでしょうか。読売文学賞も受賞したのも納得です。2023/03/28
時代
13
『司馬遼太郎が考えたこと』シリーズ第13巻。色々な媒体に書いたエッセイなどを時系列順に。昭和60年1月から昭和62年5月まで。もう長編小説は書かれていない頃。仏教・朝鮮半島・バスク人・大阪などなどますます深く鋭く物事に思いを馳せる◯2021/11/23
まさにい
8
『叡山美術の展開』で密教のイメージが判った。また『浄土』で浄土真宗前の浄土観が理解できた。『私の三冊』の本を読んでみようと思う。2022/11/11
VAN
4
「司馬遼太郎が考えたこと13」読書完了。 85~87年頃に書かれたエッセイ集。 この時期にきてより一層司馬先生の持論の展開が確固たるものになってきています。 日本語の特徴である、ウラルアルタイ語族についての歴史への想像や文明の外側にいた日本列島での鉄の普及と稲作の関係など、歴史を大枠で俯瞰する視点について、非常に興味深い内容です。 関係する司馬先生の小説を1、2読んだ後に、おすすめです。2012/12/01
ひらぱー
3
司馬遼太郎、本当にすごい。あとがきなどで既に読んだ文章も多いけど、種々の挿話とその背景を簡潔にまとめた文章はとても面白い。これだけの知識を抱えて、この人は一体世界をどのように理解していたのだろうかと好奇心をそそられる。でもそんな豆知識は些事で、それ以上に、小説では排している司馬さんの私情を絡めた文章を読むと、とっても大きなスケールでの人類への愛が感じられて、気持ちがよいです。2011/03/28