新潮文庫<br> 寝ぼけ署長 (改版)

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新潮文庫
寝ぼけ署長 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 388p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101134352
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

五年の在任中、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかり。ところが、いよいよ他県へ転任が決ると、別れを悲しんで留任を求める声が市民たちからわき起った…。罪を憎んで人を憎まずを信条とする“寝ぼけ署長”こと五道三省が、「中央銀行三十万円紛失事件」や「海南氏恐喝事件」など十件の難事件を、痛快奇抜で人情味あふれる方法でつぎつぎと解決する。山本周五郎唯一の探偵小説である。

著者等紹介

山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文芸春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞。’58年、大作『樅ノ木は残った』を完成。以後、『赤ひげ診療譚』(’58年)『青べか物語』(’60年)など次々と代表作が書かれた
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

じいじ

118
 あの山本周五郎が、こんなユーモアに富んだエンタメ小説を書くのか、と驚いた。しかも、これが探偵小説で、戦前の「新青年」に正体をふせて覆面作家として書いた連作短篇というのもユニークだ。主人公・警察署長のキャラが奇をてらって面白い。一見ぐうたら親父で、「居眠り署長」の別名も…。ところが、市民からは人気者なのだ。任期が終わって異動が決まると、市民はムシロ旗を担いで「署長留任!」を叫ぶ。街の権力者の圧力にも屈しない正義感が魅力です。予期せぬ山本周五郎との邂逅でした。周五郎ファンには一読の価値ある一冊です。2018/03/19

たつや

67
何となく西田敏行をイメージして読了。こういうのも書いてたんだと感心する。死んだときにその人がどれだけ愛されていたか?何を残したかが良く分かる。身につまされます。2017/06/07

タイ子

64
読友さんのレビューから知った本。これまで読んだ山本周五郎さんの本は殆ど、いや全部時代小説だったので探偵小説!?と思ったのですが、なるほど戦前・戦後は探偵冒険小説を書いてらしたんですね。いつも寝てばかりいる署長が事件が起こるとすわっ!すんごい頭の回転の良さで謎解きをしてみせる。古き良き昭和の時代、罪を憎んで人を憎まず。署長の言葉1つ1つが心に響くのがいいですね。やはり周五郎さんらしい作品。願わくば警視総監まで駆け上がって欲しい寝ぼけ署長であります。ご紹介ありがとうございました。2018/04/03

Kanae Nakajima

53
探偵小説と銘打ってますが、山本周五郎らしいヒューマニズム小説でした。気付けば居眠り、いつもぼんやり仕事をしていないように見える署長は、しかしいつの間にか皆彼のことが大好きになっている。『…貧乏だということで、かれらが社会に負債を負う理由はないんだ。寧ろ社会のほうでかれらに負債を負うべきだ、…』徹底した弱者への優しい視線が随所に感じられます。昭和21年からの連載ということで、時代背景や言葉遣いも味わい深いです。2017/10/28

タツ フカガワ

49
再読。周五郎さんには珍しいミステリー仕立ての10話連作。署長室で寝てばかりいるところから付いたあだ名が寝ぼけ署長。だが、どんな事件も名推理で解決する。一見鈍なキャラクターで好対照だが、弱者にやさしい眼差しは『赤ひげ診療譚』の新出去定に通じる温かさがある。昭和21年ころの作品なので古さは否めないけれど、いかにも周五郎さんらしい筋立ての「一粒の真珠」「毛骨屋親分」「十目十指」がよかった。2021/01/31

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