出版社内容情報
失踪した叔父。遺された武田家遺産の謎……。怪奇幻想のロマン溢れる隠れた名作。
武田家再興――百三十余年にわたる悲願に翻弄される甲州甘利郷のみどう一族。江戸の新御番、安倍半之助は甲府勤番中に失踪した叔父の遺品を調べるうち、叔父を狂気へと導いた武田家の莫大な遺産をめぐる「かんば沢」の妖しい謎のとりことなり、己れもまた甲州へと出奔してゆく。著者の郷里甲州の雄大な自然を舞台に謳いあげた、周五郎文学に特異な位置を占める怪奇幻想の大ロマン。
内容説明
武田家再興―百三十余年にわたる悲願に翻弄される甲州甘利郷のみどう一族。江戸の新御番、安倍半之助は甲府勤番中に失踪した叔父の遺品を調べるうち、叔父を狂気へと導いた武田家の莫大な遺産をめぐる「かんば沢」の妖しい謎のとりことなり己れもまた甲州へと出奔してゆく。著者の郷里甲州の雄大な自然を舞台に謳いあげた、周五郎文学に特異な位置を占める怪奇幻想の大ロマン。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。横浜市の西前小学校卒業後、東京木挽町の山本周五郎商店に徒弟として住み込む。1926(大正15)年4月『須磨寺附近』が「文藝春秋」に掲載され、文壇出世作となった。『日本婦道記』が、’43(昭和18)年上期の直木賞に推されたが、受賞を固辞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
48
狂気と妖しさの虜となるのが謎めいていて面白かったです。雄大な自然から紡がれる物語。ただ、伝奇小説と言えるかはわかりませんでした。2022/04/25
GaGa
32
武田家再興を願うみどう一族。叔父の死によりその土地へとまるで導かれるかのように出奔し、「かんぽ沢」へと隠遁生活の道を選択する主人公。山本周五郎作品では珍しい、ファンタジックな作品で特に終盤はジュブナイル色が漂う。ページ数もさほど無く、難しい話ではないので中高生の読書感想文にはいいかもしれない。2011/03/29
きょちょ
26
5代将軍綱吉の時代。 幕府の重役、柳沢吉保側と、彼を追い落とそうとする側、そして武田家の再興を狙う一族。 そのはざまで主人公は生きる。 サスペンス要素があり、一人一人をしっかり描いているようだが、その一人一人がいつものような深みが感じられない。 唯一興味を持ったのは、主人公と結婚するはずだった女性の性格。 人の生き方の在り様を描きつつ、サスペンス要素を交えて、新聞連載に挑戦した周五郎だが、成功したとは言えないと思う。 全体的に面白いとは感じられなかった。 ★★2021/09/14
takaya
16
普通の時代小説かと思いきや、むしろミステリ仕立ての小説でした。独特の幻想的な雰囲気もあり、また昭和的なレトロなロマン?という印象も持ちました。いずれにしても、予想外に楽しめた作品です。2024/04/22
YOMIPITO
7
山行で訪れた初狩駅で、これを引用した周五郎の文学碑を見つけて、青空文庫で読む。 伝奇小説のような設定でありながら、主人公の若者の悩みが主題のようでいて変な感じ。 でも、小石川や曲軒、人間らしい生活など、これ以降の作者、作品に繋がるワードがいくつも出てくるのでファンには楽しい。 2023/04/23