新潮文庫<br> どうせ、あちらへは手ぶらで行く

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新潮文庫
どうせ、あちらへは手ぶらで行く

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  • サイズ 文庫判/ページ数 194p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101133355
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

「五月十六日『楽しく楽に』を最優先。不快、厄介、後廻し。楽々鈍でどんどん楽」―作家が手帳に記していた晩年の日録には、自身の老いを自覚し、見つめながら、限られた人生を最期まで豊かにしようとする姿があった。執筆への意気込み、友との交遊の楽しさ、家族への愛情、そして妻を亡くした悲しみなど、作家が世を去る三ヶ月前まで、九年間にわたって綴っていた感動の記録。

目次

日録―一九九八年(平成十年七十一歳)~二〇〇六年(平成十八年七十九歳)
鈍々楽(井上紀子(次女))
巻末付録 勲章について

著者等紹介

城山三郎[シロヤマサブロウ]
1927‐2007。名古屋生れ。海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。一橋大学を卒業後、愛知学芸大に奉職し、景気論等を担当。1957(昭和32)年、『輸出』で文学界新人賞を、翌年『総会屋錦城』で直木賞を受賞し、経済小説の開拓者となる。ほかに吉川英治文学賞、毎日出版文化賞を受賞した『落日燃ゆ』などの著作がある。2002(平成14)年、経済小説の分野を確立した業績で朝日賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

団塊シニア

52
奥様を亡くされて、強烈な孤独感、不安感が飾りや計算のない一人の男性の気持ちとしてまっすぐ届く内容です。2014/12/20

ぶんこ

24
娘さんのあとがきに「予想外の失敗、不始末。 能力と体力の衰えは、ただでさえ空虚な心に追い打ちをかけた。」とありました。 私も、読んでいる最中、これだけ体に気を付けて、よく歩き、頭も使っていたのに、こんなにも衰えるのかと、恐怖でした。 明日は我が身どころか、城山さんのお歳より10年以上も早く衰えそうです。 最愛の人を亡くし、一人暮らしだと辛いのだと実感。 (楽楽鈍)、(鈍鈍楽)という言葉を何度も言い聞かせていたようです。 常に自分を律していられたのは立派で、尊敬しました。2014/04/27

やどかり

23
「そうか、もう君はいないのか」を読んだので、こちらも。こちらは手帳に記された日記のような日々の言葉。本当に奥様を大事にされていたのだなぁ。お子さん達とも良好な関係で、そんな場面を読むとホッとする。奥様を亡くされてから身体の衰えが目立つようになるが、自分の意思とは別に弱っていく、できないことが増えるのはどんな気持ちだろうかと少し寂しくなる。とはいえお酒を嗜み、好きな旅行やゴルフに行き、健康のために散歩する、人生を楽しもうとされているように思えた。2017/07/24

ichiro-k

17
城山氏の老いへの不安、亡き妻思い、気を使う娘たちへの感謝の気持ちが綴ってある。読み手を意識していないので、たいしたメッセージはない。たまたま本書を読んでいる最中に、福祉関係の方と「老い、孤独、家族」について本音を話す機会がある。その方の「お金(財産)を持っている老人には気持ちには余裕があり、家族はもちろん本人に人が寄り付く」という経験法則が印象深い。ナイナイづくし(財産、可愛げ)の自分の老後は孤独だろうなと不安になる。2011/09/04

4fdo4

14
他人に見せることを前提としていない日記を覗き見るのは、気持ちいい物ではない。 しかし恰好つけていないから、ストレートな思いがつづられている。向田邦子の日記もそうだった。 そして大概が絶筆なので呆然とする。 私が思う惹きつけられる日記というのは、やはり手書きなんだと思う。 そこには体調の良し悪しとか、急いでいたとか、字が下手だったとか色んな空気が感じられる。 デジタルと違う、人柄がより感じられる手書きの日記。そこに魅了される。 2018/09/30

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