出版社内容情報
「国家の経済政策は政財界の思惑や利害に左右されてはならない」という固い信念で通産行政を強引、着実に押し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初めの時期に視点をすえ、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い闘いをダイナミックに捉える。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
166
”ミスター通産省”と呼ばれた佐橋滋をモデルとした本。ドラマ化もされ、佐橋滋を佐藤浩一が演じていたと思う昭和の高度成長期の先輩たちは本当に国のために必死で働いたのだとこの手の本を読むたびごとに思う。事務次官争い・派閥・政治家の思惑などが程よくブレンドされ、緊迫感のある物語になっている。佐橋滋を支える人々、ライバルも異彩を放ってよい。
ゴンゾウ@新潮部
126
戦後復興を遂げ日本が高度成長に突き進む時代の話。現代と異なり政治も企業も役人も成長ぬ向かって走っていてとても前向きだ。でもやはり人事はいつの世も運とタイミングなんだと思う。矛盾しているが必ずしも実力のあるやつとか努力したやつとかが生き残るわけでもない。健康やプライベートも大切だ。必ずしも予定通りに進まない。出る杭は打たれる。人間関係は難しい。2015/07/11
射手座の天使あきちゃん
90
随分と「がむしゃら」に生きた時代があったんですねぇ、父親より沙良に上の世代かな!? でも引退後に事業を興す訳でもないのに事務所をかまえ、好きなゴルフをし、好きな人とだけ会って、おおいに政治を語り・・・ って、やっぱり官僚の方と庶民の感覚はベースラインが違うんだね 残念ながら共感出来ずです。ゴメン m(_ _)m2011/01/02
かみぶくろ
83
3.7/5.0 この作品で描かれる、天下国家を論じ、熱く政策談義を交わす官僚像っていうのは、今どれだけリアリティを持ちえるのだろうか。現代日本で官僚ほど割に合わない職業選択はなく、それでも彼らは官僚になることを選んだのだから、その志を信じたい気持ちもある。省が人事を握っていたこの作品の時代と比べると、やはり内閣人事局の創設が、官僚の弱体化と国家の劣化に繋がっていく決定打だったのではないかと思えてくる。2021/03/07
TATA
67
ある種、官僚という仕事のやりがい、難しさ、そういったものをしっかり認識させてもらえた一冊。本来は天下国家を論じることのできる高潔な業務であるべき。勿論、優秀な人材に溢れ、時に外圧もあり、思うような出世が得られないのだろうが。時代が違うといえばそれまでだが、国家の大計を真剣に思う人たちにこそこういった仕事に身を投じてもらいたい。2020/06/25