感想・レビュー
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meg
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うつくしい。2022/09/02
春埜秋岡
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蓬生の巻にて、源氏がたまたま末摘花の屋敷を通りかかる場面。「大きな松の枝に藤が逼いかかって、月の光に長い花房の揺れているのが、風につれてさっと匂って来るのもなつかしく」。屋敷の荒廃が記された後のこの描写はたいへんに美しい。源氏の語りが明らかに笑いものにしている末摘花がこれによって救われるかどうかははなはだ疑問だが、とにかく美しい。 本巻随一の笑い所。娘に送られた手紙が夕霧からだと分かったとたんにニコニコ顔になり、「明石入道の二代目になろうか」などど言うが、忙しい家族に相手にされない惟光。 2018/01/18