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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
198
第34回(1955年)直木賞。 著者らしい山岳短編集であり、雄大な 自然と闘う 人間を骨太に描く。 表題作は著者の富士山頂観測所勤務時代の 経験をもとに 書かれたものらしいが、 特殊な世界に生きる人間を 密度濃く、 鮮明に描いている。2018/10/26
kaizen@名古屋de朝活読書会
146
直木賞】強力伝、八甲田山、凍傷、落とし穴、山犬物語、孤島。解説:小松伸六。富士山の案内人・強力、小宮正作(しょうさく)。富士山気象観測所へ行く石田。白馬山の案内人鹿野。小宮が山頂に新聞社の花崗岩の風景指示盤を担ぎ上げる。富士山と白馬山の違いと山岳小説の一端を知る。2014/08/09
じいじ
86
店頭で横積みされ「直木賞受賞作!ー 選考委員を夢中にさせた処女作」の惹句をみて読んでみた。名前は存じ上げているが、初読み作家である。感想を先に言うと「めっちゃ面白い」です。何故?読まなかったのか後悔している。初期の短篇集だが、6篇すべて良しである。とりわけ、【おとし穴】が気に入っている。仲間との酒盛りのあとの帰り道、主人公が「落とし穴」に落ち込んでしまう。狭い真っ暗な穴の中で、山犬と対峙する話である。男の人柄・本性が垣間見えて面白い。傑作だ。この作家のほかの作品を読みたくなった。2023/03/10
大阪魂
83
新田さんが昭和26年、デビュー作で見事直木賞を受賞しゃはった「強力伝」はじめ6編の短編集。やっぱ「強力伝」がすごかった!実話やそうやけど、富士山で新田さんと付き合いのあった山の案内人兼荷物持ち「強力」の小宮さんが187キロの風景指示盤2個を白馬岳頂上まで一人でもってあがるってお話。命削って石を運ぶ小宮さんには読んでてほんま熱くなってしもた…富士山頂観測所の建設に成功した佐藤さんが足指が凍傷でなくなっても建設に命をかける「凍傷」も感動やったし、短編版「八甲田山」もすごかった…山、新田さん、圧倒的!の一言やね2021/08/17
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
82
山の日に手にした山の本。私の中では山の本イコール新田次郎である。直木賞を受賞した処女作「強力伝」を始めとする初期の短編集。表題作の「強力伝」は実在の人物をモデルとした話。富士山の強力が180キロを超える巨石を白馬岳山頂まで担ぎ上げる。山への輸送手段が人力しか無い時代とはいえ、よくこんなことができたものだ。彼が文字通り命を削ってまで担ぎ上げた風景指示盤は今も白馬岳の頂上にある。★★★★2019/08/12