内容説明
東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
482
★★★★★ 松本清張の数ある作品の中でも個人的に1番の傑作と思っている。久しぶりに読んだがやはり面白い。ただ主役の今西が少しずつ手掛かりを得ていくのが、推理によるものというより偶然にすぎる点が気になった。 下巻に向けて不穏な空気が漂い、陰鬱な雰囲気を醸し出しているが、ここから一気に面白くなっていくのは知ってるので引き続き楽しみたい✨2023/10/11
ykmmr (^_^)
203
遅咲き作者の出世作で、観ていないが…映像化もされた。内容だけは、何となく聞いた事があった。蒲田の死体遺棄から始まる、サスペンスあるあるの最初。ゆっくりと進む物語展開。主人公の今西も武骨ながら、熱心で操作の為なら、幾らでも歩く。そんな展開だが、今のような電子機器は勿論、防犯カメラしかない時代。だからこその操作・又は人間らしさも垣間見えるのだろう。今西は実は有能で、『紙吹雪』だけで、展開を広げた訳だが。そして、『カメダ』の言葉の意味と、『ヌーボー』の正体は⁇後半へ続く…。2022/05/05
いおむ
178
嫁棚本。初、松本清張です。非常に読みやすくてまずびっくり。そして面白い!主人公の初老ベテラン刑事の粘り強い地道な捜査が、事件の真相に徐々に迫っていく過程がぐいぐいとページをめくらせる。下巻が楽しみ!そして清張の他の作品のいつか読んでみよう。2018/02/24
イアン
160
社会派ブームの火付け役として幾度となく映像化された不朽の名作。蒲田駅の操車場で身元不明の男の扼殺死体が発見された。刑事・今西は被害者が発した東北訛りの「カメダ」を手掛かりに犯人の足取りを追うが…。監視カメラやDNA型鑑定はおろか、携帯電話や新幹線すらなかった時代。まさに「足で稼ぐ」しかない刑事の執念は逆に新鮮に映った。現在の評価軸でいうなら、例えば紙吹雪から真相に辿り着くプロセスなど所々に飛躍は感じるものの、これも社会派ミステリ黎明期ならではの瑕疵だろう。相次ぐ不審死に興味を引かれながら、下巻へ進みます。2024/02/26
Atsushi
159
蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。今西刑事は被害者の東北訛りとカメダという単語を手がかりに捜査を進める。ひょんなことから東北訛りの方言が中国地方の一部で使われていることが明らかに。新進芸術家集団ヌーボーグループと事件との関わりはいかに。もどかしいまま下巻に突入。2018/06/23