内容説明
横領、強盗、殺人…こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ―人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた―軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
著者等紹介
星新一[ホシシンイチ]
1926‐1997。東京生れ。東京大学農学部卒。1957(昭和32)年、日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参画し、ショート・ショートという分野を開拓した。1001編を超す作品を生み出したSF作家の第一人者。SF以外にも父・星一や祖父・小金井良精とその時代を描いた伝記文学などを執筆している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nanasi
152
少し長めのショート・ショートが10編収録されています。カバーデザインは真鍋 博さんです。生島 治朗さんが解説をしています。個人的には「老人と孫」と「時の渦」が面白かったです。2013/08/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
80
小学校で読書の習慣を身につける助けとなって、中学では読書に疲れると手にとって、読書欲をチャージした星新一さんの作品群。10篇のショートショートを収録した『白い服の男』。表題作は【セ】で始まる何かを摘発する秘密警察の話です。摘発した焚書の数々。一番上には『風と共に去りぬ』というタイトルが……。新潮社から『白い服の男』として刊行されたのは1977年ですが、初出は1968年! テレビをモチーフにした作品が3篇。僕のベストは時間をテーマにした『時の渦』。イラストは、星さんの大人向け作品のエース画家、真鍋博さん。2014/08/23
セウテス
71
〔再読〕タイトル「白い服の男」を含む10作品。本作は難しい、星先生の作品は、読み終えてスッキリとする感じなのだが、今回に限ってはモヤモヤとしています。大人に対しての痛烈な意見や批判が、ストレートに表されていると思います。人間が作り出す平和の概念と実際の大きなズレが在ること。正義だと盲目的に信じて、行う事の中に潜んでいる愚かさに気づか無いこと。より良い生活の為に努力した結果が、地球の破壊に繋がる様な虚しさを感じます。もしかしたら人間が存在する事自体、矛盾の上に成り立っているのではないのかと思って仕舞います。2015/12/15
Tetchy
69
表題作のような情報操作は既になされているのが本音。レイ・ブラッドベリの某有名作品を思わせる。2008/09/03
ひらちゃん
61
多分読んだであろう筈が内容はすっかり忘れてた。簡潔な文章に今読んでも違和感のないショートストーリー。久しぶりエヌ氏に静かに心が湧いた(笑)ゼロ日時を考えた時、「秋の牢獄が」浮かんできた。現在でも色褪せない星新一は凄い。2019/09/05