新潮文庫<br> 物体O

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新潮文庫
物体O

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  • サイズ 文庫判/ページ数 294p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101097077
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まえすとろ

35
大阪を中心に突如、直径千キロメートル、高さ二百キロメートルのリング状物体が落下。円形地域内は地上海上とも外界から完全に孤立。円内に残された人々は大阪を「首都」に社会秩序と経済を新たに立て直さなければならなくなった。表題作『物体O』をはじめ、70年代の学生運動を題材にしたスラップスティック作品の『フラフラ国始末記』、戦後社会でのフェミニズムの台頭から男女間の有り様が逆転した社会を描いた『ダブル三角』など、戦後の混乱から復興を遂げた日本社会の「if」を奇想天外なSF的発想と視点で描いた10作から成る短編集。 2015/10/23

KANEO

21
10篇収録のSF短編集。ユーモアな作品がほとんどだがどれにも強い社会風刺性を感じる。表題作のシチュエーションとリアルなシュミレーションは流石。拍子抜けともとれるオチではあるが、おそらくそれも計算の内なんだろうなあ。『ダブル三角』は著者の女性恐怖症が遺憾なく発揮されていて、いかにも小松さんらしい作品だぜ。極端な描写だがその気持ちはよくわかるなぁ。イヤーコワイコワイ(笑) 若さと夢に溢れる『フラフラ国始末記』、意外な最終兵器で圧倒的な戦力差のある戦に挑む『イッヒッヒ作戦』の2作がストレートに楽しくて良いね。2015/06/05

かんけー

10
そのスケールの大きさに驚きを隠しきれない。「物体O」ゼロではなくオーと読む。異様な物体の落下によって関東地方の大部分と九州地方の一部が壊滅した。この異様なプロローグで始まる本作。物体の直径は千Km、完全なリング状で高さ地上200キロ?首都圏が押しつぶされると云う事態に生き残った人々はパニクり(^^)臨時政府を立ち上げたり、物体の正体を突き止めようと学者は躍起になり、「宇宙人の乗り物?」なんて(笑)発言も出て来たり。経済活動も立ちゆかなくなり産業界全体が深刻なスランプに陥る。巨大なリングによって列島を2015/02/18

MIKETOM

6
小松の短編集はけっこう読んだけどたまに名作にぶつかることがある。今回は『あれ』。「あれ」というのは別に「ナニ」のことではない。「あれ」としか表現できないもので、しかもそれを目撃した人はみな「あれ」で通じるのだ。この作品はたいがいの中年男ならみな深く共感するんじゃないだろうか。書かれたのは昭和47年。狂乱物価なんて言われた頃か。高度成長時代の波に乗り切れなかった人たちにとって、ある種悪夢の時代かもしれない。現代で言えば負け組の側。巨大な絶望感が空一面にのたうち胎動し…。今の俺もこれに完全に飲み込まれてるな。2021/02/22

酔花

4
3分の2が軽めのコメディ調の作品で、残りがシリアス。さすがに全体的な水準は高めだが、小松左京の作品として眺めるとなんだこれはというものもあり玉石混淆。首都消失の対になる作品とも言える表題作や、不安が蔓延し、あれが見えるようになる「あれ」が良かった。「物体O」のOの正体はぶったまげたなぁ。話の筋は外界から隔絶された土地で、社会的再生を図るにはどうすればよいかという思考実験にあるのはわかっているが、それでもあの正体はあんまり(笑)2013/11/04

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