出版社内容情報
岡嶋二人[オカシマ フタリ]
著・文・その他
内容説明
ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
147
仮想現実と実際の世界はどこで区別するのか?ゲームの原作者が体験した世界を描く。アマゾンでは評価が高いものの、後半の侵入は安っぽい。大きなスケールを表現したかったらしいが、作品世界を予算不足の映画セットみたいに感じた。私は登場人物への感情移入もしなかった。「時代を先取りしている」というのは褒めすぎ。この作品がミステリーかSFかはどうでもいい。読者は面白いものを読みたいだけ。ページ数は多いが物足りなく感じた。作者は二人一組だったが、この作品では既に井上夢人が主に執筆。この後はコンビ解消で井上名義の作品が出る。2019/01/08
おかむー
101
四半世紀前の作品ながら、物語としての完成度が高いので読み応え充分、ジャンルとしてはサスペンスなのだろうけれど、後半でひたひたと押し寄せる恐怖感はホラーとしても充分。『たいへんよくできました』。俺自身約20年ぶりの再読だけれど、大枠と印象の強いラスト意外記憶が薄れて新鮮な感覚で読めたのは幸いだった。物語の進行につれて高まってゆく緊張感と、真実が明かされてなおどこまでが“外”なのか“中”なのか判然としない恐怖感が、当時らしい細かい部分はともかく古さを感じさせないしっかりとした文章で描かれて満足のいく作品でした2014/11/28
kaoru
85
バーチャルリアリティの世界に迷い込む設定は使い古された感はありますが、真相が見えてきたところから、もう一つ驚きがあるのは流石です。冒頭のフリも効いていて、ちょっと背筋が寒くなるSFホラーです。2016/08/09
hit4papa
81
岡嶋二人名義の最後のミステリ作品です。いくつかSFテイストの傑作をものしていますが、本作品はヴァーチャルリアリティがテーマ。発表がほぼ30年前でありながら、些かも古びる事がなく、むしろ現代の技術を予見したかのような内容です。現実世界と見まがうゲーム空間でモニターを続ける主人公。彼はやがて大いなる陰謀に気がついていくという展開です。現実が崩壊していくシナリオは、フィリップ・K・ディックの諸作品に見られますが、舞台を日本に設定しても違和感なく読み進めることができました。結末は予想通りで驚きは少なめです。2017/05/27
chiru
75
昔読んだとき、ヴァーチャルとか、仮想現実の世界に、すごくワクワクしたのを覚えてる。ラストは、ヴァーチャルなのかリアルなのかわからなかったと思う。それともその境界があったということ? 今思うと、すごい先駆け小説。読み直したくなりました。★52017/12/22