内容説明
「面白くない」と背番号7の宇野人形は文句をつけた。「あいまいだわね」と『石野真子』ちゃんも同調した。「うるさい、どんな話をしようとわたしの勝手だ」―というわけで、お話は続きます。信じようと信じまいと。9人の金子光晴、アメリカに行くための地図、伊藤整の「日本文壇史」、「ハッピイ・エンド」など、文学史上初の豪華8大付録つきで贈る、ポップでキュートなポストモダン新物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
52
今や猫も杓子もChatGPT、ChatGPTとか言うてますけども。時間の問題で、AIに小説を書かせる作家が出てくるだろう。今、既にそれは着々と進行していると断言しても良い。そしてきっと、読メでも飽きて面倒になった感想をAIに書かせる読者が出てくるだろう。今、まさにこれがそうでないとは断言しきれない。けれども、AIには決して生み出せない作品がこうしてここにある。どうしてこれがAIには生み出せないのかというと、狂っているからだ。人間にしか、本当には狂えないからだ。狂えるから阪神ファンは毎年優勝を疑わないのだ。2023/05/20
さっとる◎
39
30年といえば、正しい地図を持っていても公園裏のアメリカにたどり着くのはすこし難しいながさだ。冷蔵庫は残念なことにかつて冷蔵庫だったものになってしまったけれど(白物家電!)、そこにかかった「虹の彼方に」は断捨離ブームにも負けず、絶滅危惧種で踏みとどまり、私のとこまできたわけだ。おはよう!私の番だね、そう言って話し始めるあなたの声がとてもいいから、私いつも安心してねむってしまう。最初にきいたほんとうのことももう忘れた。だから、またあなたの番だよ。ハッピイエンドを忘れないで。何度もおやすみとおはようをしよう。2021/03/20
メタボン
23
☆☆☆ ぶっとんでいる。それも虹の彼方へと。言葉による冒険に満ちた「小説」というか「かつて小説だったもの」もしくはビッグバンによってぶちまかれた「小説の欠片たち」。こういう小説に意味を求めてはいけないと思う。同語反復が何故だか面白い。2017/05/11
田氏
21
本作は、高橋源一郎がさようならギャン一郎だったときの、その次一郎にあたるらしい。その後かれは、ペンギン村に陽は落ち郎、さよならクリストファ一郎ビンなどを経たのち、ここ10年程はぼくらの民主主義なん一郎とか、タカハ思想一郎なイメージが強い。対して、本作くらいの初期一郎には、わりと純一郎なところがある…というと今が不純一郎みたいで語弊があるが、より隔世的な場所で思索を巡一郎していたように見える。それこそ虹の彼方みたいな場所で、われわれが見ようともしないものを見ているような。今一郎がいまいちとは思わないけれど。2021/09/23
4fdo4
11
両論出る感じの本。 私は耐え切れず、割と飛ばした。 ポストモダンって中々染み込まない。 ただどこかで後から入ってくる余韻があって 嫌いではない。 むしろ、内容は好き。 ただ文体がついていけない2018/02/04