出版社内容情報
繊細、緻密、しかも絢爛――。17歳から31歳までの天才作家の軌跡がわかる、至極の13短編。
〈三日のうちに、僕は神の兵隊に銃殺されるんだ〉という自らの予言通りに、ラディゲは庇護者であるコクトオに見守られながら二十年の生涯を閉じた。――著者が少年の時より心酔しつづけてきた夭折の天才ラディゲの晩年と臨終を描く表題作。ほかに、『みのもの月』『魔群の通過』『花山院』『旅の墓碑銘』『施餓鬼舟』など、現実を明晰・辛辣な筆致で裁断した短編全13編を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
149
三島の17歳から31歳に書かれた13の短篇を収録。ただ、『花ざかりの森』などの自選短篇集には入らなかったものから選んでいるために、残念ながら質は幾分か落ちるのは否めない。篇中では、やはり表題作にとられた「ラディゲの死」が光彩を放つ。コクトーが言う。「初めから、僕には、ラディゲは借りものであって、やがて返さなければならないことがわかっていた」と。十代の頃から才能を発揮した三島は、夭折に憧れていただろう。弱冠20歳で『肉体の悪魔』と『ドルジェル伯の舞踏会』を残し夭折したラディゲこそは、三島の永遠の憧憬だった。2012/11/14
優希
111
17歳から31歳までの軌跡がわかる短編集でした。繊細で緻密で絢爛な世界はまさに天才が故の雅さを放っています。時代も国も様々に描いた中に見られる皮肉と自意識は一貫したもののように感じました。瞬時に言葉を美的なものへと変化させ、肉体的フェティシズムを表現する自己顕示は、その感覚と感動を味わい、受け入れる人がいるかどうかは切実だと言えるでしょう。夭折の天才・ラディゲへの憧憬がある意味苦しい。ボディビルへの陶酔が内なるラディゲとの別れだったのでしょうか。心酔から自己愛への傾倒が眩しいです。2016/10/22
榊原 香織
71
短編集 表題作は詩として読むべきか。 古典のような”みのもの月”17歳で書いたというのは驚き。 他のは、う~ん、技巧的すぎるなぁ。 特に自死が。三島だと思うと余計にそう思う。 ”日曜日”は意外に世界系?と思ってたら、あらら・・2022/01/06
i-miya
53
2013.06.27(再読)三島由紀夫著。 (カバー) 神の兵隊によって、3日間のうちにぼくは銃殺されるんだ、という自らの予言。 その通りにラディゲはコクトオに見守られながら二十年の生涯を閉じた。 コクトオはラディゲの庇護者。 三島が少年のときから心酔しつづけてきたラディゲ。 夭折の天才。 その晩年と、○じゅうを描く。 他13短編。 (解説=野島秀勝) S17-31、まで、ということは、T14生まれの三島、そのまま昭和の年数が満年齢で計算される。 2013/06/27
i-miya
47
2013.07.04(つづき)三島由紀夫著。 2013.07.04 東の受領の人の女。 この女は、東で生まれたのだが、二三年前、都に上ってきた。 みめよいものだから宮仕えのお召しもあったような話。 しかし、受けようとはしなかった。 それが私ゆえ、と知ったときのうれしさ。 桂のごとき君、になってしまっては、とおしまいになったのだから。 このような、いくらかひなびた、まるで女童同然なひとを私が好いているとわらうかも知れないが・・・。 2013/07/04