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新潮文庫
真夏の死―自選短編集 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 349p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101050188
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

三島自選によるとっておきの短編集。愛すべき者が死に、生き残った人間に救いはあるか。人生の切実なテーマを、あらゆる手法で描いた傑作。

著者自選による第二短編集。伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの意味を作品化した「真夏の死」をはじめ、文壇へのデビュー作ともいうべき「煙草」、レスビアニズム小説の先駆的な作品「春子」、戦後の少年少女の風俗に取材した作品等、短編小説の方法論と技術的実験に充ちた11編を、著者自身の解説を付して収める。

内容説明

著者自選による第二短編集。伊豆今井浜で実際に起った水死事故を下敷きに、苛酷な宿命とそれを克服した後にやってくる虚しさの意味を作品化した『真夏の死』をはじめ、文壇へのデビュー作ともいうべき『煙草』、レスビアニズム小説の先駆的な作品『春子』、戦後の少年少女の風俗に取材した作品等、短編小説の方法論と技術的実験に充ちた11編を、著者自身の解説を付して収める。

著者等紹介

三島由紀夫[ミシマユキオ]
1925‐1970。東京生れ。本名、平岡公威。’47(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ケ月で退職、執筆生活に入る。’49年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、’54年『潮騒』(新潮社文学賞)、’56年『金閣寺』(読売文学賞)、’65年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。’70年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ケ谷駐屯地で自決(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

255
著者の自選になる第1短編集『花ざかりの森』は、そこに収められた作品群が、いずれも情念的あるいは感覚的であり、小説を読む快楽を味わえた。一方こちらの第2短篇集は、多分に観念的であり、小説を読む楽しみにしても知的な側面を多く持つことになる。巻末にある著者の自註でも、それぞれの作品に対する固有の方法意識が語られており、いずれもその限りでは実験的なものであったようだ。アフォリズム風のうまさは随所に感じられるが、小説世界への投入感はいくぶん弱くならざるを得ない。篇中ではやはり表題作「真夏の死」が白眉か。2012/11/28

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

145
悲しみは時とともに癒えるというのは嘘かもしれない。 終わりゆく夏と対比して波の音は絶え間なく。さかしらに不幸を見せびらかすおんなは嫌いです。かなしみは私だけのもの、だれにも分け与えるつもりはありませんと凛とした目の貴女。みんなが私を責めればいい、くるしみの夏は永遠に終わらなければいい。嘆く彼女を救ってあげたいなど私はいったい何様なのでしょう。白い肌に触れて薔薇を飾る。溢れる花弁はあかくて思い出の貴女は血塗れでした。うつくしい物語は茫洋としてイメージで遺る私のなかの、記憶。2020/08/31

takaichiro

120
三島先生、自選短編第2集。解説も本人。切腹自死する昭和45年6月に記載。遺書のニュアンスも感じます。「自作・自註は退屈な作業だが第3者の手にかかってとんでもない憶測をされるより、古い自作を自分の手で面倒をみてやりたい」と。テーマからどれも長編として読みたいものばかり。但し、技巧的挑戦を始め作品の意図が解説されており、三島作品を知る貴重な資料の位置付けも。11作品の全てにわたり官能・哲学・芸術・生き様等の要素を複雑に織り込む仕上がり。短編でより凝縮度が高く、インテリ思考の三島loverには堪らない一品では?2020/02/01

優希

110
自選短編集なので、三島の持つ様々な短編を読むことができました。虚しさ、同性愛、風俗といった多彩な表情を見せる11編の中には、文壇デビュー作とも言うべき作品まであるのが興味深いところです。短編小説の方法論と技術的実験の究極の結晶といった感じでしょうか。三島自身の解説も面白かったです。2017/07/25

青蓮

107
再読。どの作品も切れ味抜群で印象的。短編集はその作家の均一なトーンがあるけれど、本書は色彩豊かで、三島由紀夫はこんな作品も書けるのかと改めて彼の天才的な才能を感じました。素晴らしい。メルヘンチックな雰囲気のある「翼」、モダンな男女の駆け引きを描いた「クロスワード・パズル」、その時代の若者達を取り巻く風俗を映した「葡萄パン」、オチに思わず笑ってしまう「雨のなかの噴水」などが新鮮に感じてお気に入りです。表題作の「真夏の死」はとても密度が高い作品で、まるで長編小説を読んでいるよう。巻末の自身による解説も面白い。2016/07/20

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