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新潮文庫
花ざかりの森/憂国 - 自選短編集 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 332p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101050027
  • Cコード C0193

出版社内容情報

エロスと大義との完全なる融合――。その美学が凝縮された、宿命的短編「憂国」を含む、傑作自選短編集。

十六歳で、少年の倦怠を描いた作品「花ざかりの森」を発表して以来、様様な技巧と完璧なスタイルを駆使して、確固たる短編小説の世界を現出させてきた作品群から、著者自らが厳選し解説を付した作品集。著者の生涯にわたる文学的テーマや切実な問題の萌芽を秘めた「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」「詩を書く少年」「海と夕焼」「憂国」等13編を収める。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

215
文庫のための自選短篇集で、解説も作家本人が書いている。13篇を収録するが、集中、小説としてのうまさに感服するのは『女方』だ。万菊、増山、川崎、いずれの人物造形も実に見事。特に歌舞伎の世界で生きてきた万菊の芸と恋の表現は、まさしく小説を読む醍醐味に溢れている。そして三島は彼(彼女)を見つめ続ける増山の感じる「幻滅」と「嫉妬」という二律背反する感情の複雑さを、そこに描き出してゆく。また『憂国』は、三島自身の永遠の憧憬なのだろう。まさしくエロスとタナトスとが同時に共存し得る稀有な時間がそこに濃密に現出する。2012/07/13

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

173
みえない井戸の底をみようと目を凝らした、そこにちらついているのは光だった。躑躅の森に花水木、強い香は茉莉花、春のひざしに似合う花ざかりの森を木かげにひそんで挑みたい。暗やみに匂いたつ花々を想像して。信じても裏切られるこの世を、それでも美しいと感じるこころが好きなのです。美しいまま死にたいとのぞんでも、わたしは自刃するやいばがこわいのです。この世のすべてが今、と咲きほこる花のような霞のように消えるような。あなたを愛す私を愛す、夢に酔うこの世は一瞬で一瞬は永遠、と口のなかでつぶやいてきえた。弄ぶ、春だった。2020/04/26

172
表題作の憂国、良かったです!! ほかにも三島由紀夫の短編集がこれでもかと詰め込まれていてとても贅沢な1冊だと思いました☆2013/03/09

遥かなる想い

156
短編集。16歳ぐらいの少年の描写はうまい。 不気味な冷静を感じるのは、三島の生涯を知ってからだろう。2010/06/12

♪みどりpiyopiyo♪

116
彼の作品は初めてです。冒頭、知ってる経歴からは想像もつかない美しい日本語(の羅列)に驚きました。初めの2つは10代の作だそうで、知ってる美辞を全て披露したい背伸びと気取りを感じていたら、後の「詩を書く少年」と著者解説で自身もそれを述べてました。■読み進むに連れ初期の気負った文体は徐々に洗練され技巧的には上達しますが、全編を通して、憧れと自己愛、自尊心、スノビズムと虚栄心に貫かれ、何かになりたくて何かを模している様な、終生そういう人だったんだなと思いました。この本の題を決めた編集者の意図が読み取れます(→続2016/05/27

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