内容説明
大銀行の地下金庫から、トンネルを掘って金貨を盗み出そうとした「赤毛組合」事件。ホームズの名推理で一件落着に見えたのだが、裏にはどんでん返しの計画が潜んでいた!事件後、薬物を乱用するホームズは頼りにならず、途方に暮れるワトソンには大事件が降りかかる。堅牢な刑務所から囚人はなぜ消えたのか、「新しい十五匹のネズミのフライ」の謎とは。巨匠が贈るパスティーシュの傑作。
著者等紹介
島田荘司[シマダソウジ]
1948(昭和23)年、広島県生れ。武蔵野美術大学卒。’81年『占星術殺人事件』でデビュー。以後、人気作品を多数生み出し、本格ミステリーの旗手として不動の地位を築く。「島田荘司選 ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」等を主宰し、新人発掘にも尽力している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
143
『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』から実に30年以上の時を経て島田氏が発表したホームズ物のパスティーシュはあの有名な「赤毛組合」がホームズを欺くための事件でその裏側で別の犯罪計画が潜んでいたという、大胆不敵な内容。従来ホームズのパスティーシュは正典から登場人物・事件等をエピソードとして語るものが多いが、短編そのものをミスディレクションに使用した作品はなかっただろう。ホームズとワトソンから御手洗・石岡コンビを生んだ島田氏がとうとう師の作品を下地に更なる高みを目指した本格ミステリを生み出すに至ったことが感慨深い。2020/07/21
KAZOO
96
島田さんのホームズ物2作目です。今回はワトソンが主人公のような感じでホームズは薬というか麻薬の影響でかなりおかしな人物に描かれてしまっています。赤毛連盟の話も実はということでその裏の物語が続きます。また「這うひと」や「まだらの紐」事件も・・・・。ワトソンのロマンアスなどもあったりで物語としては楽しめますが、題名がもう少し意味があると思ったのですが。2020/02/07
勇波
32
恥ずかしながらホームズほとんど読んだ事ありません。ジブリのアニメは見てます。アレは名作だと思います(ダ・カーポの主題歌も。)なんで今作読みながらずっと犬に脳内変換してました。今回の主役は石岡…違うワトソン君です。石岡君同様、騎士として存分に楽しませてくれますぞ★2021/07/03
かめりあうさぎ
27
面白かったです、が、正典既読者向けの作品だと思いました。『赤毛連盟』には実はこんな裏があった!という出だしから始まります。正典とは違って全体的にホームズがちょっと足りてない感じで描かれており、基本的にはワトソンの活躍が中心になります。思いを寄せる女性が事件に巻き込まれ彼女を救うために命をかけて戦うワトソンがめっちゃタフ。中盤はワトソン一色になりますが、最後にはきちんとホームズらしさも味わえて満足でした。2021/06/15
えみ
27
シャーロック・ホームズ、彼は偉大な名探偵。誰もが憧れる知識の豊富さを生かした名推理の数々…のはずが!神話崩壊‼ホームズが登場する小説でこんなに安心できない彼の推理を読むのは初めて。推理だけではない、人格破綻も著しい。ワトソンが作り上げた物語の中で生きているホームズに全読者は騙されているのかもしれない‼薬物乱用で錯乱するホームズに代わり、事件解決に乗り出すワトソンに襲い掛かるのは脱獄犯達が囁く謎めいた言葉「新しい十五匹のネズミのフライ」、これは何を意味する?事件の裏には大事件が待っているなんて予想外だった。2020/02/15