内容説明
突然、葉書が届いた。甚野弥太郎。30年前に行方が分からなくなっていた男だった。久しぶりに会った私に、弥太郎さんは途方もない話をする。戦後、米軍将校の日本人殺しを目撃して30年監禁されたと言うのだ。その後も呼び出されて奇妙な記憶の断片を聞かされ、浅草のなじみの店で「惚れた女」美保に会う。私は彼女に惹かれ始め、次第に弥太郎さんの語る人生の闇に引き込まれていく―。
著者等紹介
山田太一[ヤマダタイチ]
1934(昭和9)年、東京・浅草生れ。大学卒業後、松竹大船撮影所演出部に入り、木下恵介のもとで助監督を務める。’65年独立、テレビドラマの脚本家となり、「男たちの旅路」「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」を始め、多くの名作を手掛ける。一方、作家としても活躍、『飛ぶ夢をしばらく見ない』(’85年)『異人たちとの夏』(’88年、山本周五郎賞)『恋の姿勢で』(’95年)などの作品がある。舞台脚本の分野でも、意欲作を次々に発表している
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